井上尚弥は、ほんとうに強いボクサーだ!
日本ボクシング史上最強だ。
プロボクシングWBA、IBF世界バンタム級タイトルマッチが10月31日(日本時間11月1日)米ネバダ州ラスベガスで行われた。
そして、この試合はいつものように井上尚弥が見事なKO勝利。
アメリカのボクシングファンも絶賛の強さを見せつけた。
世界を見渡しても過去、現在を含めて、軽量級最強の一人に数えられるだろう。
重量級中心のアメリカボクシング界に軽量級の強さ、面白さを認めさせた井上尚弥は、実に偉大で爽快な選手だ。
そして、今日の試合を見て改めて感じたのは、元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)の強さだ。
2019年11月7日、さいたまスーパーアリーナで井上と対戦し敗れはしたが、敗れてなお強しをドネアは再確認させたのだった。
井上尚弥は第7ラウンドKO勝ちでラスベガス・デビューを飾った
2団体統一王者の井上尚弥(27)がWBA2位、IBF4位のジェーソン・モロニー(29)オーストラリアに7回2分59秒、見事なKO勝ちを収めた。
最強、井上尚弥の堂々たる戦いぶりを振り返ってみましょう。
第1ラウンド
風格さえ感じさせる井上が、積極的に出て左フックで先制する。
マロニーも右を伸ばして対抗。
マロニーはさらにステップで詰めていくが、井上はアッパーを繰り出して中には入れない。
それでもマロニーは距離を詰めるが、井上には相手のパンチがよく見えている。
マロニーのパンチはことごとく空を斬る。
その後、井上は基本通り左ジャブをリードパンチに攻めの形を作っていく。
そしてボディー、右とコンビネーションで攻め立てる。
依然、距離を詰めていくのはマロニーだが、井上はこれに左ジャブを合わせ、マロニーにペースをつかませないまま、第1ラウンド終了のゴングが鳴る。
第2ラウンド
このラウンドもまず左フックで井上が先制し、相手にプレッシャーをかける。
さらに左から右のワンツー。
井上はさらに強いプレッシャーをかけていく。
左ジャブが相打ちとなった。
井上は左ジャブ、左のボディストレートを次々に繰り出す。
さらに右の強打を振がマロニーの顔面に炸裂。
マロニーも闘志満々。
井上のプレッシャーに負けじと右の強打を返していくが、巧みにかわしマロニーのパンチはことごとくヒットしない。
井上のプレッシャーが徐々に強まり、マロニーはロープに追い詰められて苦しい展開。
井上は冷静に左、右をマロニーの顔面にヒットさせる。
このラウンドでペースを握った井上が優位に立つ。
第3ラウンド
序盤からジリジリと相手を追い込む井上。
井上はやはりすごい。
野球の投手に例えるなら、165kmの剛速球を持ちながら、高速スライダーと右打者の胸元をえぐるシュートを投げるようなものだ。
それほど、アッパーとフックが鋭い。
左から右ストレートを伸ばし、懐に入ってきたマロニーに対し右のアッパーをヒットさせる。
井上のプレッシャーが明らかにマロニーを追い詰めているのが分かる。
マロニーは得意の接近戦に持ち込みたいが、距離を詰めての右フック、ボディーもあまり効果はない。
井上はしっかりガードし、左のフック、アッパーで反撃。
さらに距離を詰めて強烈な右フック。
マロニーも下がりながら逃げるが井上はじりじりと追いかけ、ボディーにも的確にパンチがヒットする。
これは、後からじわじわ効いて来るが、特に井上のパンチは重く破壊力が並みじゃない。
このラウンドも井上が優勢。
第4ラウンド
前へ出てプレッシャーをかける井上尚弥。
マロニーは追い詰められるように下がる展開。
井上は右から左とアッパーを繰り出す。
さらにガードの間を突き刺すような尚弥独特のジャブを繰り出す。
ここで左ボディーの強打が効いたか、マロニーの鈍った動きがはっきりわかる。
観客がいれば場内がどよめく展開だが、この試合に観客はいない。
マロニーは距離を詰めて左フックを返す。
しかし、井上はすぐさまフックで反撃。
マロニーはここで何とか巻き返したいが思い通りの展開に持ち込めないもどかしさ。
フック、ボディーを繰り出すが効果は薄く、井上の反撃は素早い。
相手に攻勢の場面を作らせない井上有利の状況が色濃くなっていく。
残り10秒から井上は左、右のコンビネーションで畳みかける。
このラウンドは一見、マロニー有利に見えるが井上のパンチは徐々に相手を追い詰めていた。
結果論だが、井上にダメージを与えられかったマロニーの勝機は、このラウンドで消えたといっても過言でない。
第5ラウンド
形勢逆転を狙い、このラウンドはマロニーが積極的に前に出て距離を詰める。
マロニーの右フックが井上にクリーンヒット。
井上は少しだけ後退するが、左、右のワンツーを返す。
マロニーのペースになるかと思われた中盤、井上の重い右の強打が炸裂する。
すぐさまクリンチで絡み、マロニーは決定的な場面を何とか逃れる。
第6ラウンド
プレッシャーをかけながら前に出る井上。
マロニーのジャブに合わせ、井上がカウンターで対抗。
左フックが顔面にクリーンヒットする。
たまらず、マロニーは尻もちをついてダウン。
立ち上がったマロニーに対し攻勢をかける井上。
マロニーはクリンチで逃れようと必死だ。
井上はこれを振りほどき、ロープに追い詰めてフック、アッパーの連打。
足を使って左右に動くマロニーだが、もう1ランドのようなスピードは見られない。
井上尚弥はガードを下げて冷静に相手を見極め、左ジャブ、ボディーを的確に打ち込む。
ゴングが鳴る。
第7ラウンド
井上は序盤から左ジャブを相手の顔面に繰り出す。
ここが勝負と読んだかプレッシャーのかけ方が一層強まる。
負けじとマロニーは懐に入ろうとするが、見事アッパーがヒット。
井上は手を休めない。
左ジャブの連打で相手を追い込んでいく。
マロニーもガードを固めて、一発、二発とパンチを返してリズムを取り戻す。
と思ったその矢先、井上はマロニーが前に出たところを狙いすましたかのように、右ストレートの重い一発が命中。
右脚の膝が心配になる崩れ方で、倒れるマロニー。
マロニーは一撃を喰らい、あっけなく崩れ落ちるダウン。
そのまま立ち上がることができない。
井上はボクシングの聖地ラスベガス・デビュー戦を見事なKO勝利。
強い!強い!ほんとうに強い井上尚弥!