高校生だった勝みなみ選手は、2014年のJLPGAツアー「KKT杯バンテリンレディス」に出場し、勝利する。
ツアー史上最年少のアマチュア優勝でもあった偉業は、日本のゴルフ界に強い衝撃を与えたのはいうまでもない。
そして、17年のプロテストに一発合格でプロ転向。
翌2018年にはレギュラーツアー初優勝。
2021年の「日本女子オープン」で国内メジャー初優勝。
実に輝かしいゴルフの道を歩んできたのが勝みなみだ。
したがって、勝みなみが日本ツアーに飽き足らず、アメリカツアーへ挑戦するのはごく自然の成り行きと言えるだろう。
浅倉南と勝みなみ
そして今、彼女が米ツアーで戦う心強い味方であり武器――すなわちクラブセッティングに、大きな注目が集まっている。
飛距離、コントロール、スピン性能……すべてをバランスよく備えた彼女のクラブ構成には、勝負師としての知性と経験が生かされている。
本記事では、2025年ファウンダーズカップでの実戦使用クラブをもとに、その全貌を徹底解説する。
なお、プロ選手はシーズン中でも使用クラブを変更するケースがあるので、了解いただきたい。
勝みなみのクラブセッティング|2025年ファウンダーズカップ取材
ドライバー|操作性と弾道安定を両立
スリクソン ZX7 Mk II(9.5度)を使用。
シャフトはディアマナ GT(45.25インチ、50g台、S)。
手元側にしなりを持たせた仕様で、スムーズな切り返しとタイミングの取りやすさを実現。
米国ツアーの硬いフェアウェイにも対応した設定といえる。
フェアウェイウッド&ユーティリティ|多彩な状況での対応力
・3W:スリクソン ZX Mk II(15度)/ディアマナ GT(60g台・S)
・5W:スリクソン ZX Mk II(18度)/ディアマナ プロトタイプ(S)
・4UT(22度)・5UT(25度):スリクソン ZXi/ディアマナ Thump 465(S)
フェアウェイウッドでは距離と高さのバランス、ユーティリティではラフや傾斜地からの対応力を重視。
どの番手も明確な役割を持ち、コース攻略に余念がない。
アイアン|スピンと操作性に優れた精密仕様
スリクソン Z-FORGED II(6番~PW)を選択。
シャフトはNSプロ 950GH neo(X)で、安定したインパクトを生む重量設計。
球筋をコントロールする力とスピン性能に優れ、ピンポイントでグリーンを狙える精密な武器。
ウェッジ|勝負を決める短距離武器
・クリーブランド RTZ(50度、54度、58度)
シャフトはアイアン同様NSプロ 950GH neo(X)で統一。
米国の硬くて速いグリーンでも強烈なスピンとキレで勝負できる。
パター|構えやすさと安定感を両立
WHITE HOT VERSA ONE CHパター(プロトタイプ)。
オデッセイの中でも視覚的にラインを出しやすいモデルで、構えやすさと直進性を重視した設計。
パッティングの再現性を高めることで、勝負所での一打を支える。
ボール|Z-STAR ダイヤモンド〈2025年〉で勝負
愛用ボールはスリクソン Z-STAR ダイヤモンド(2025年モデル)。
飛距離とスピン性能のバランスに優れ、全番手で安定した性能を発揮する。
勝みなみの現在地と未来、ファンが望むこととは?
高校生で日本女子ツアーKKT杯バンテリンレディスを制し、ゴルフ界に大きな衝撃を与えた勝みなみ。
その勝利を目の当たりにした同世代や後輩の中には、大里桃子をはじめプロゴルファーを目指すきっかけとなった者も少なくない。
言動から察するに姉御肌な一面もあり、笑顔もいい。
仲間や後輩への気遣いも厚いと思われる。
だからこそ、ファンが彼女に寄せる期待はただ「アメリカでの勝利」だけではない。
若い世代の先頭に立ち、日本女子ゴルフ界を引っ張る原動力になれる存在だ。
おおらかな性格とスケールの大きなゴルフは、アメリカでもきっと通用するはずだ。
堂々とした戦いの中で一日も早くアメリカで一勝し、後輩たちに夢と道筋を示してほしいと切に願うファンは多いはず。
勝みなみには、それができるだけの実力とバックボーンがある。
まとめ|勝みなみのセッティングが語る“挑戦”の本質
勝みなみのクラブセッティングは、単なる“道具選び”にとどまらない。
世界基準で戦うための準備、そして勝負へのこだわりが詰まっている。
過酷な環境と言われて久しい米国ツアーでも通用するように、一つひとつのクラブ選択には意味があり、戦略がある。
彼女の挑戦は、まだまだ続く。
そしてその背中に、私たちは新しい時代の希望とフラッグを見つけるのだ。