2025年夏、猛暑の日本のゴルフ界に大きなニュースがもたらされました。
女子プロゴルファーの原英莉花選手が、翌2026年シーズンのLPGAツアー(米国女子ツアー)のシード権を確実にしました。
これは、彼女が今シーズン、日本ツアーのシード権を放棄し、米国女子下部ツアーであるエプソンツアーに挑戦するという、まさに退路を断った決断が実を結んだ瞬間でした。
日本のトッププロ原英梨花選手が選んだ「茨の道」
原英梨花選手は、これまで国内ツアーで通算5勝を挙げ、特にメジャー大会での強さが光るトッププレーヤーのひとりです。
国内の最高峰大会、日本女子オープンで2勝を誇る、黄金世代を代表する選手でもあります。
その時、彼女は「やっぱり自分の気持ち(海外志向)が動かない」と述べ、翌シーズンの主戦場を、下部ツアーであるエプソンツアーにすると明言します。
国内での実績とトップクラスの人気を誇る中で、安定した地位を捨て、未知の環境に身を投じる決断は、彼女の内に秘めた強い向上心と、世界への思いが滲んでいました。
安定感で掴んだシード権:エプソンツアーでの戦い
エプソンツアーは、LPGAツアーを目指す選手たちがしのぎを削る厳しい舞台です。
国内レギュラーツアーのように華やかな雰囲気はなく、練習環境やキャディの確保など、選手自身で多くのことをこなさなければなりません。
原英梨花選手はこの環境下で、持ち前のダイナミックなゴルフを展開しながら、安定したプレーを続けました。
シーズン序盤から予選落ちは一度もなく、コンスタントに上位に食い込んでいきました。
2位に2度入るなど、優勝にはあと一歩届かない試合が続きましたが、その安定感こそが、彼女をシード権獲得へと導く最大の武器となりました。
そして、ついに今季初優勝を手にします。
この勝利こそ、まさに念願のLPGAツアー昇格への決定打となりました。
追い求めた優勝でポイントランキングを大きく上げ、シーズン終了を待たずして、上位15人に与えられる来季のLPGAツアー出場権を確定させたのです。
「恩師」ジャンボ尾崎への感謝
原英梨花選手が米国挑戦を決意した際、彼女のゴルフ人生を支えてきた師匠であるジャンボこと尾崎将司プロの存在を忘れることはできません。
尾崎プロは、原選手の米国挑戦を後押しし、周囲に「日本にいるんだから日本のシード権を大切にしろ」という声もあった中で、「そういうことをしていると、いつまでたっても上に行けないぞ」と、彼女の決断を尊重しました。
新たな舞台での挑戦へ
来シーズン、原英莉花選手は世界最高峰の舞台であるLPGAツアーのフィールドに立ちます。
これまでの日本での経験と、エプソンツアーで培ったタフネスを武器に、さらなる高みを目指すことになるでしょう。
もちろん、LPGAツアーの壁は決して低くありません。
しかし、原選手はインタビューで「勝つためにゴルフをやっている」と語っています。
彼女の挑戦は、ゴルフファンに大きな夢と感動を与え続けています。
今後の活躍にますます注目が集まります。
素晴らしい挑戦と、決断に心から拍手を贈ります。