全英女子オープン(AIG Women’s Open)は、女子ゴルフ界で最も権威あるメジャー大会の一つです。
1976年の創設以来、世界のトッププレーヤーが集うこの大会では、日本人選手も輝かしい成果を挙げてきました。
本記事では、大会の概要や歴史、日本人選手の活躍、そして2025年大会の出場資格保有者について詳しく解説します。
全英女子オープンとはどんな大会?
全英女子オープン(AIG Women’s Open)は、イギリスで毎年開催される女子ゴルフメジャートーナメントのひとつです。
2001年から米国LPGAツアーの公式メジャーに昇格し、同時に欧州女子ツアー(LET)でも公式戦として位置づけられています。
大会の主催は男子の全英オープンと同じく、ゴルフの原点であるR&A(The Royal and Ancient Golf Club of St Andrews)。
開催時期は毎年8月で、セント・アンドリュース、カーヌスティ、ロイヤル・リザム&セント・アンズなど、世界屈指のリンクスコースが舞台になります。
リンクスコースは海沿いに立地し、木々が少なく、緩やかだが起伏のある地形と強風、深いポットバンカーといった自然の過酷さが特徴。
選手には高い技術力と冷静な判断力が求められ、「本物のチャンピオンを選ぶ大会」として評価されています。
賞金総額は年々増加していて、2024年大会では900万ドル(約13億円)を超えました。
これは女子メジャーの中でもトップクラスの規模であり、多くの選手にとって「人生を変えるチャンス」となる重要な一戦となっています。
全英女子オープンの歴史
全英女子オープン(AIG Women’s Open)は、1976年にイングランド・ヨークにあるフルフォード・ゴルフクラブで第1回大会が開催されました。
当初は主にイギリス国内の女子選手を対象とした大会で、欧州女子ツアー(LET)の一部としてスタートしました。
1984年に日本の岡本綾子が優勝し、アジア圏のゴルファーとして国際的な注目を集める契機となりました。
1994年からは本格的に国際色が強まり、アメリカやアジアのトッププロも参加するようになります。
2001年には米LPGAツアーの公認メジャートーナメントとして正式に認定され、賞金規模やメディア注目度が飛躍的に向上。
これにより「女子ゴルフにおける全英オープン」という呼び名にふさわしい、世界最高峰の大会へと成長していきます。
開催コースも格段にグレードアップして、セント・アンドリュース・オールドコース、ミュアフィールドなど、男子の全英オープンと同様の格式あるリンクスが舞台となっています。
現在では、全英女子オープンはR&Aが主催する唯一の女子メジャー大会であり、ゴルフの原点・英国で真のチャンピオンを決する「伝統と格式の象徴」として世界中の注目を集めています。
全英女子オープンで優勝した日本人選手と試合のハイライト
岡本綾子(1984年)
全英女子オープンで日本人として初の優勝を果たしたのは岡本綾子選手でした。
1984年大会のことです。
この年の大会は、残念ながらまだ米LPGA公認のメジャー大会ではなかったものの、世界的な権威ある大会として高く評価されていました。
岡本選手は最終スコア289(-3)で優勝し、2位に11打差をつける圧倒的な勝利を収めました。
この「11打差」は、現在でも全英女子オープン最多差優勝記録として残っています。
この優勝により岡本綾子選手は、世界への扉を開いた日本人ゴルファーの先駆者的存在になったと言えるでしょう。
渋野日向子(2019年)
2019年、渋野日向子選手は全英女子オープンに初出場し、いきなりのメジャー制覇を成し遂げました。
開催コースは、イングランドのウォーバーン・ゴルフクラブ。
彼女は4日間を通じて安定したプレーを見せ、最終スコアは通算18アンダー。
最終ホール(18番パー4)では、2打目をピンそばに寄せ、勝負を決めるバーディーパットを沈めました。
この瞬間から世界中の注目を集め、「スマイルシンデレラ(Smiling Cinderella)」というニックネームが誕生します。
特に12番パー4では1オンを狙い、果敢に攻めたショットがバーディにつながるなど、アグレッシブなゴルフが話題となりました。
渋野選手の優勝は、1977年の樋口久子以来、42年ぶりの日本人女子メジャー制覇という歴史的快挙でした。
全英女子オープンの主な優勝者と開催コース
ミュアーフィールド
主な優勝者
- リディア・コ(2024年)
- リリア・ヴ(2023年)
- アシュリー・ブハイ(2022年)
- アンナ・ノルドクビスト(2021年)
- ソフィア・ポポフ(2020年)
主な開催コース
- セント・アンドリュース・オールドコース
- ロイヤル・リザム&セント・アンズ
- ミュアフィールド
- カーヌスティ・ゴルフリンクス
- ロイヤル・ポースコール(2025年開催予定)
2025年全英女子オープンの出場資格を保有する日本人選手
- 山下美夢有
- 西郷真央
- 渋野日向子
- 笹生優花
- 竹田莉緒(2024年ブルーベイLPGA優勝)
今後の予選会の結果次第では、さらに出場選手が追加される可能性もあります。
まとめ
全英女子オープンは、世界のトップレベルのゴルフが堪能できるメジャートーナメントであり、日本人選手の活躍も年々注目度を増しています。
2025年大会でも、渋野日向子や笹生優花といった実力者に加え、新たなスターの登場にも期待が高まります。女子ゴルフファンは要注目です。