秋の気配が忍び寄る東北の丘陵地に、静かなる高揚が広がる――。
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンは、そんな空気のなかで幕を開ける。
華やかさと緊張が入り混じり、誰もが一打一打に物語を託す。
気をてらった演出もなければ、派手な賑わいもない。
ただ、ここには確かな記憶を刻む場がある。
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンとは?
この大会には「何かが起きそう」な予感がある。
多くを語らずとも、その場の空気が選手たちを飲み込み、観る者の心を動かす。
公式戦でありながら、どこか地元の風景と溶け合ったような温もりもあり、日常と非日常が同居する舞台。
華やかなスタートよりも、終わり際にじんわりと残る余韻こそが、この大会の本質かもしれない。
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンの歴史
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンは、1973年、ミヤギテレビの開局3周年を記念して創設された。
当初は「松島国際女子オープン」の名でスタートし、会場や大会名称を変更しながらも、今日に至るまで東北の地に根ざし続けている。
1998年には、住友ゴム工業(ダンロップ)が特別協賛として加わり、現在の大会名称「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」が確立する。
これにより大会の安定性と全国的な注目度が一段と高まっていく。
2003年には、宮城県宮城郡利府町の「利府ゴルフ倶楽部」で開催。
以降は一貫して同コースでの開催が続いている。
利府ゴルフ倶楽部を開催地としたことで、大会はより成熟し発展。
女子ツアー終盤の風物詩とも呼ばれる存在となっている。
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン過去にあったエピソード
2003年。秋の空に澄んだ風が吹いていた。
東北高校3年生、宮里藍――。
彼女がこの大会を制したとき、誰もが時代が変わる音を聞いた。
プロではなかったため、優勝しても賞金は0円。
だが、それ以上のものを、彼女は手に入れたのだった。
のちに高校生プロとして歩み出すきっかけとなるその瞬間は、今でも語り草だ。
2006年、同じ宮里が再び頂点に立ったときは、3週連続優勝の締めくくり。
勝つことが使命になったかのような彼女の姿には、希望と重圧が同居していたのだろうか
2009年には地元・東北高校出身の有村智恵選手が勝利を収め、スタンドには万雷の拍手が響いた。
誰かが夢を追いかけ、誰かがそれを見届ける。
ここは、そんな交差点だ。
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン大会概要
大会名称:第52回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント
開催期間:2025年9月26日(金)〜28日(日)
開催コース:利府ゴルフ倶楽部(宮城県宮城郡利府町森郷字内の目北3-25)
賞金総額:7,000万円
優勝賞金:1,260万円
出場人数:108名(予定)
決勝進出:第2ラウンド終了時点で50位タイまで(予定)
主催:株式会社宮城テレビ放送
特別協賛:住友ゴム工業株式会社(ダンロップ)
公認:一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン過去15回の優勝者
回 | 年 | 優勝者 | 開催コース |
---|---|---|---|
第51回 | 2024年 | 安田祐香 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第50回 | 2023年 | 岩井明愛 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第49回 | 2022年 | 山下美夢有 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第48回 | 2021年 | 西村優菜 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第47回 | 2019年 | 柏原明日架 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第46回 | 2018年 | 大江香織 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第45回 | 2017年 | 畑岡奈紗 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第44回 | 2016年 | 李知姫 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第43回 | 2015年 | 表純子 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第42回 | 2014年 | 酒井美紀 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第41回 | 2013年 | イ・ナリ | 利府ゴルフ倶楽部 |
第40回 | 2012年 | 森田理香子 | 利府ゴルフ倶楽部 |
第39回 | 2011年 | フォン・シャンシャン | 利府ゴルフ倶楽部 |
第38回 | 2010年 | イム・ウナ | 利府ゴルフ倶楽部 |
第37回 | 2009年 | 有村智恵 | 利府ゴルフ倶楽部 |
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子開催コース:利府ゴルフ倶楽部とは?
松島丘陵の起伏と、東北特有の空気感が交わる地。
1992年に開場した利府ゴルフ倶楽部は、景色に沈まず、それでいて出しゃばらない。
整った美しさがあるわけではないが、立ち去ったあとにふと記憶のなかに残る。
そんなコースだ。
過剰な演出も、意図的な罠もない。
ただ、プレーヤーと向き合い、寄り添い、試し、問いかけてくる。
ここには、設計者の声が響いているわけではない。
代わりに、風と光と土の流れが静かに語りかけてくる。
そしてそれに気づいた者だけが、このコースの輪郭を正しく捉えることができるだろう。
コースの概要
・所在地:宮城県宮城郡利府町森郷字内の目北3-25
・ホール数:18ホール/パー72
・ヤーデージ:6,651ヤード(OUT 3,285Y/IN 3,266Y)
・コースレート(女子):73.3(JGA公式)
・設計:大成建設+西武建設(監修あり)
・公式サイト:https://www.pacificgolf.co.jp/rifu/
特別な仕掛けがあるわけではない。
だが、どのホールにも小さな意地がある。攻め急げば跳ね返され、慎重すぎれば置いていかれる。
とくにインコースは風の通り道になりやすく、静かな罠が待っている。
最後の18番は、静寂のなかで勝負が決まる。
まとめ
この大会に派手さは不要だ。
控えめな熱量と、余白を残した興奮こそが魅力だ。
戦いの舞台である利府ゴルフ倶楽部がそれを引き立ててくれる。
きらびやかさより、沁み入る記憶を残したい。
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンは、そんなゴルフの本質をそっと差し出してくれる。