ゴルフ日本シリーズは、日本のプロゴルフ界における最高峰の大会の一つです。
長年にわたり、その舞台となってきたのは名門・東京よみうりカントリークラブ。
この記事では、この歴史ある大会の全貌と、舞台となるゴルフコースの魅力に迫ります。
ゴルフ日本シリーズとはどのような大会か
ゴルフ日本シリーズは、その年の日本ゴルフツアー(JGTO)公認トーナメント優勝者や賞金ランキング上位者など、年間を通して顕著な活躍をしたプロゴルファーだけが出場できる「最優秀プロ決定戦」として位置づけられています。
大会は、アメリカで始まった「ゴルフ・ワールドシリーズ」に触発され、1963年に「第1回ゴルフ日本シリーズ」として誕生しました。
当初は日本オープン、日本プロ、関東オープン、関東プロ、関西オープン、関西プロの6大競技の優勝者のみに出場資格が与えられ、その権威を高めました。
この特別な出場条件が、日本のプロゴルファーにとって年間を通しての大きな目標となっています。
大会概要
ゴルフ日本シリーズは、年間のツアーを締めくくる最終戦として、毎年12月に開催されます。
出場選手は30名に限定され、まさに選ばれし者たちによる頂上決戦です。
2025年大会の賞金額は?
2024年の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の賞金総額と優勝賞金は以下の通りです。
・賞金総額:1億3,000万円
・優勝賞金:4,000万円
*2025年大会も同規模の賞金額が予定されています。
詳しくはこちらをご覧ください。
出場資格
・前年度優勝者
・その年のシーズン開幕戦から日本シリーズ前週までの日本ツアー競技優勝者(2007年以降はアマチュアも含む)
・その年のシーズン開幕戦から本大会当週までの日本ツアー賞金ランキング上位20位以内の選手
・日本ツアーメンバーであり、そのシーズンのPGAツアーもしくはヨーロピアンツアー優勝者
・日本ツアーメンバーであり、本大会前週時点でのオフィシャルワールドゴルフランキング100位までの選手
・それでも出場者が満たない場合は、本大会当週時点での賞金ランク上位選手(30名に達するまで)が追加されます。
過去にはアマチュア選手の出場が除外されていましたが、2007年に当時高校生だった石川遼選手が史上最年少でツアー優勝したことを受け、JGTOが規定を削除。こ
れにより、アマチュア選手も出場できるようになりました。
優勝者への栄誉
優勝者には、赤色のチャンピオンブレザーと大ペナント、そしてJTカップが授与されます。
また、副賞として日産自動車の車両(2024年はアリア)や、向こう3年間の日本ツアーシード権が与えられるなど、その栄誉は計り知れません。
主催と協賛
かつては日本プロゴルフ協会(PGA)が主催する公式戦でしたが、現在は報知新聞社、読売新聞社、日本テレビ放送網が主催しています。
特別協賛は1998年以降JTが務めており、その他にも日産自動車、ブリヂストンスポーツ、二階堂酒造、アメリカン・エキスプレス、エアトリといった企業が協賛しています。
ゴルフ日本シリーズと東京よみうりカントリークラブの関係
ゴルフ日本シリーズと東京よみうりカントリークラブは、切っても切れない関係にあります。
大会創設当初は、前半2日間を大阪よみうりカントリークラブ・東コース、1日の移動日を挟んで後半2日間を東京よみうりカントリークラブで開催していました。
第28回(1991年)からは東京と大阪で1年ごとの交互開催となり、そして第32回(1995年)からは東京よみうりカントリークラブに会場が固定され、毎年この名門コースで最終戦が開催されています。
東京よみうりカントリークラブの18番ホールには、名物のホールインワン賞が設定されています。
達成者には賞金200万円と、JT傘下のテーブルマークのさぬきうどん1年分が贈呈されます。
これは、かつての日立協賛時代の家電製品や、JTの飲料事業撤退前の缶コーヒールーツ1年分といった副賞から変更されたものです。
東京よみうりカントリークラブの概要
東京よみうりカントリークラブは、1964年4月19日に正式開場した、日本のゴルフ史に名を刻む名門コースです。
その誕生は1960年、当時の読売新聞社主であった正力松太郎氏の「国際的チャンピオンコースを開設しよう」という構想から始まりました。
ヤーデイジやコースレートなど、詳しくはこちらでどうぞ。
歴史と特徴
武蔵野の面影を残す多摩丘陵に着工し、当代の第一人者である井上誠一氏がコースを設計しました。
自然の地形を最大限に生かし、全体的に雄大で国際的なトーナメントが開催できる格調高いゴルフ場として完成しました。
開場以来、ワールドレディスや世界選手権、そしてゴルフ日本シリーズといった数々のビッグトーナメントの舞台となり、その圧倒的な実績は「チャンピオンコース」としての確固たる地位を確立しています。
2024年には開場60周年を迎え、名門コースとしての品格を保ちつつ、常に新しい挑戦を続けています。
クラブの主な歩み
- 1961年:東京読売カントリークラブ 仮開場
- 1964年:東京読売カントリークラブ正式開場、第2回ゴルフ日本シリーズ開催
- 1966年:第14回カナダカップ争奪ゴルフ世界選手権開催
- 1968年:東京よみうりカントリークラブに改称
- 1973年:第1回ワールドレディスゴルフ開催
- 1991年:第28回 ゴルフ日本シリーズを初めて当クラブのみで4日間開催(大阪と隔年開催)
- 1995年:第32回 ゴルフ日本シリーズ開催(以降、毎年開催)
- 2014年:開場50周年、ベントグリーン芝張替え
- 2017年:乗用カート運用開始
- 2022年:カートナビ運用開始
アクセス情報
〒206-0822 東京都稲城市坂浜685
TEL:044-966-8800(代表)
TEL:044-966-1144(予約専用受付10時〜)
FAX:044-954-5005
MAIL:tokyoyomiuri.c.c@yomiuriland.co.jp
大会の主な優勝者
ゴルフ日本シリーズは、数々のレジェンドたちがその名を刻んできた大会です。以下に主な歴代優勝者の一部をご紹介します。
開催回 | 開催時期 | 優勝者名 |
---|---|---|
第1回 | 1963年11月 | 石井朝夫 |
第2回 | 1964年11月 | 陳清波 |
第3回 | 1965年11月 | 杉原輝雄 |
第8回 | 1971年11月 | 尾崎将司 |
第15回 | 1978年11月 | 青木功 |
第18回 | 1981年12月 | 羽川豊 |
第19回 | 1982年12月 | 中嶋常幸 |
第22回 | 1985年12月 | 尾崎健夫 |
第25回 | 1988年11月 | 尾崎直道 |
第32回 | 1995年11月 | 尾崎将司 |
第34回 | 1997年12月 | 丸山茂樹 |
第35回 | 1998年12月 | 宮本勝昌 |
第37回 | 2000年11月 | 片山晋呉 |
第46回 | 2009年12月 | 丸山茂樹 |
第47回 | 2010年12月 | 藤田寛之 |
第52回 | 2015年12月 | 石川遼 |
第55回 | 2018年11月 | 小平智 |
第56回 | 2019年12月 | 石川遼 |
第57回 | 2020年12月 | チャン・キム |
第58回 | 2021年12月 | 谷原秀人 |
第60回 | 2023年11月 | 蟬川泰果 |
第61回 | 2024年11月 | ショーン・ノリス |
今も語り草の大会エピソード
ゴルフ日本シリーズでは、数々のドラマが生まれてきました。
中でも特に印象深いエピソードが、アマチュア選手の出場規定の削除でしょう。
2007年、当時アマチュアの高校生であった石川遼選手がツアー史上最年少優勝を飾りました。
これを受けて、アマチュア選手は出場できないという従来の規定が議論の的となり、同年7月30日のJGTO理事会でこの規定が削除されました。
こうしてアマチュアのトップ選手も、この「最優秀プロ決定戦」に挑むことができるようになり、大会の門戸が大きく開かれました。
また、東京よみうりカントリークラブの18番ホールで設定されているホールインワン賞も、大会の話題の一つです。
1998年の大会3日目にエドアルド・エレラ選手がホールインワンを達成。
これが大会唯一の記録であり、今でも語り継がれています。
まとめ
ゴルフ日本シリーズは、日本のゴルフ界の年間チャンピオンを決めるにふさわしい、歴史と権威ある大会です。
そして、その舞台を長年務めてきた東京よみうりカントリークラブは、井上誠一氏設計の格調高いコースとして、多くのゴルファーに愛されてきました。
毎年繰り広げられる熱戦は、日本のゴルフファンの心を掴み続けています。
今後もゴルフ日本シリーズと東京よみうりカントリークラブが、新たな歴史を紡いでいくことでしょう。