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埼玉の名門ゴルフ場がクラチャン決勝でルールを間違い週刊誌ネタに!

ゴルフプレー

クラブチャンピオン杯の決勝戦で起こったルールの解釈をめぐるトラブル。

敗れたのは有名病院の産婦人科医だったが、彼は埼玉県の名門ゴルフ場を自ら退会してしまう事態に発展。

 

それで一件落着と思われたが、しばらくして蒸し返されることになった。

埼玉県の銀行が経営するゴルフ場で起こったこの件が後日、週刊誌ネタにされてしまう。

 

ルールをめぐるトラブル以上に週刊誌から恰好の餌食されたのは、決勝戦を戦った二人の対照的な職業にあった。

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ゴルフ初心者も肝に銘じべし!ルールの適用は厳格に

その事件は6月の第一日曜日に起きた。

埼玉県西部にある名門ゴルフ場12番ホールでの出来事だった。

鬱陶しい梅雨入りを間近に控え、空気は淀んでいたがコース上空には青空がのぞく晴天であった。

 

「クラチャンの決勝もそろそろ決着がついたころかな」

「もう残っていても、1ホールか2ホールだろう、どっちが勝つか」

我々の組はそんな会話を交わしながら、12番ティーグラウンドに着いた。

 

オナーがアドレスに入った時、この時期は使用していない高麗グリーンの右端に人影が見えた。

パー5であるから、グリーンまではかなり距離がありプレーの妨げにはならい。

 

次々に打って最後が私の番である。

今日のパートナーは3人ともクラチャンの予選を通過したメンバーであったから、私はほぼ4番手で打っていた。

 

それでも、この連中を相手にオナーが一度あったのだから上出来である。

アドレスを決めて、ちらりと高麗グリーンの人影へ目を向けると今度は二人が見えた。

 

一人は先ほどと同じで半そでのゴルフウエアを着ているが、もう一人は明らかに長袖のワイシャツ姿であった。

 

少し気にはなったが、仕切り直しはせずそのまま打った。

ボールは右へ大きく飛び出してOB方向へ。

 

 

キャディさんが

暫定球お願いします」

「はい、はい、では暫定球打ちますよ」

 

この『暫定球』、いつものように軽い気持ちで使ったのだが、この言葉が今重大な問題になっているとは、この時点で誰一人想像すらできなかった。

 

暫定球は左の林ギリギリへ飛んだが、木の枝をかすめてボールが落ちるのが見えたのでセーフのようだ。

このホールの距離は短いが、ちょっと厄介なロングホールである。

 

右方向にはティーグラウンドから全く見えないが、打ち下ろしの林の陰に貯水池がある。

周りに白い杭が立ち並ぶOB区域である。

 

フロントティーだとあまり気にならないが、バックティーからは180ヤードくらいで池に届くのである。

1発目はこの池に捕まったのだろう。

 

左は左で林の先がOBであった。

大きな木が並んで生い茂っているが、奥行きが浅く何といってもかなりの打ち下ろしであるから、球は林の上を超えるのだ。

 

ティーショットは要注意なので、クラチャンの予選や月例会でも飛ばし屋ほどドライバーは使わない。

 

その先もグリーの奥まで左はOB杭が並んでいる。

ゴルフの初心者には嫌なホールであろう。

 

グリーン近くに行くと高麗の端で話し込んでいるのが、7人であることが分かった。

プレーヤーが二人にキャディが二人、ほかにワイシャツ姿も含めて3人の男がいた。

 

ベントグリーンと高麗グリーンの間がかなり広く、彼らは木陰に隠れるように話しているので、会話の内容は全く分からなかった。

 

大声で争っているわけではないが、どう見ても和やかな雰囲気とは言えなかった。

後姿のキャディ二人には、困った様子が漂っていた。

 

我々はキャディも含めて皆、トラブルであることを理解していた。

クラチャンの決勝戦で何事かトラブルが発生したのである。

まだこのホールにとどまっていると言う事は、かなりの長い時間話し合いが続いているのだろう。

ゴルフの初心者も暫定球の意味を理解しておこう

ランドが終わって風呂でシャンプーしている間にも、クラチャン決勝戦のトラブルについて次々と情報が飛び交った。

 

どうやら、12番ホールにおけるティーショットの暫定球宣言に関して、トラブルが発生したようである。

 

クラブチャンピオンを決める決勝戦は36ホールのマッチプレーで争われる。

二人は7ホール残してイーブンという稀にみる大接戦で12ティーに向かい、そこでオナーの生田(仮名)氏がティーショットを放ったが、先ほどの私と同じく右へ右へとボールはよれたようであった。

 

対戦相手の倉又(仮名)氏が打ち終わった後、生田氏がもう一度打った。

この時、彼は

「もう一球打ちます」

と言ってクラブを振ったのであった。

 

生田氏の第一球目はセーフであった。

深いラフから7番アイアンで刻んだ生田氏は粘って、このホールをパーで上がった。

倉又氏も同じくパーであった。

 

相変わらずのイーブンが続くかと思われたその時、倉又氏の一言が蒸し暑いグリーン脇に緊張を走らせた。

 

「生田さん、さっきのティーショットの2回目を打つとき『暫定球宣言を』をしていませんね。

このホール失格で僕の勝ちです」

 

生田氏は眼を剥いた。

「宣言したじゃないですか」

 

 

さて、この勝負あなたはどちらに分があると思いますか?

振り返ってみましょう。

 

生田氏はこう言いって2打目を打ちました。

「もう一球打ちます」

 

この『もう一球打ちます』は暫定球の宣言にならない、というのが倉又氏の見解であった。

「暫定球』という言葉が入らない以上、暫定球の宣言とは認められなうという主張である。

 

あの時、現場に駆け付けていたのは、支配人、キャディマスター、そしてコースの代表である社長の三人だった。

 

決勝戦の立会人をしていた支配人が一人では手に負えなくなり、他の二人を呼んだのであった。

 

途中、競技委員長や他の競技委員にも電話連絡したが、双方が納得できる決裁に持ち込めなかったのである。

 

12番ホールの勝敗を決められない以上、マッチプレーの続行は当然ながら不可能である。

試合は中断され、緊急に競技委員会を開催して判断するということになったようである。

 

次の日のコース休業日に緊急開催された競技委員会の出した決裁は、生田氏の競技失格

『暫定球』に対する解釈は倉又氏の言い分が正しく、これを受け入れぬ生田氏の行為はクラブ選手権の決勝戦にふさわしからざるものである、との断が下されたのである。

 

会員の間ではしばらく話題になったが、競技委員会の結論への異議はあまり聞かれなかった。

生田氏へも、もっと大人の対応ができなかったのかとの声は聞かれたが、それ以上彼を非難する声は聞かれなかった。

 

彼の日ごろの紳士的なプレー態度などが、批判を免れた理由であろう。

しかし、思わぬところで競技委員会は批判されることになった。

 

クラブチャンピオンの決勝戦当日、誰一人競技委員がコースにいなかったのはいかがなものか、何のための競技委員会かという批判である。

もっともな批判と言えるだろう。

 

生田氏はその後、このコースで二度とプレーすることはなかった。

失格の烙印を押されたひと月ほど後に彼は一人でコースを訪れ、ロッカーの荷物を整理し、2通の手紙をフロントに託した。

 

支配人と社長に宛てた詫び状であった。

彼はその前年、クラブチャンピオンの座に輝いている。

 

生田氏は退会したが、彼が恒例に従って植えたチャンピオンの記念樹と銘板に刻まれた名は残ったままである。

メンバーもキャディも興味津々、この事件が週刊誌ネタになった理由とは?

もう、クラブでは噂する者もなくなった11月、クラチャン決勝戦が再び話題に上ることになった。

ある週刊誌に事の顛末が掲載されたのである。

 

2020年の東京オリンピックで競技会場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部や会員権価格が当時4億円といわれた小金井カントリー俱楽部などと違って、決してバリューや話題性があるとは言えない地味なクラブである。

 

トラブルといっても殴り合いになったわけでもないし、記事にする意図がわかりません。

しかし、メンバーやキャディさんの間で興味津々、話題になったのは別の意味があったのです。

 

しかし、記事の内容を聞いて改めて驚きました。

記事にした意図は二人の職業にあったのです。

決勝で戦った二人、一人は誰もが知っている都内の有名病院に勤務する産科医、一方が葬儀屋の社長であった。

トラブルの内容にはさらりと触れただけで、主に対照的とも言える二人の職業について面白おかしく書いているのであった。

 

このコースは当時の地方銀行が主体となって造成された。

したがって、銀行の取引先がメンバーにずらりと名を連ねていた。

職業は様々である。

 

一部上場の株式会社役員から、家具や食器製造業、インテリア関係、野菜などの食材卸、個人事業者などに政治家の名も10名以上見受けられた。

当然、ゴルフは初心者同然の方もいらっしゃいました。

 

 

のちに防衛庁長官(当時は防衛省ではなく)となる国会議員と一緒に回ったことがあった。

朝、フロントで

「今日はこの方と回ってもらいますが、プレー中は先生と呼んでいただけませんか?」

「何をアホな」

同じ会員であるから階層など全く関係なし。

 

医者が多かったのは、銀行とどんな関係があったのだろうか。

夫婦、親子4人が会員権を所有している、という一家もありました。

 

ある大手電機会社の大株主である会員は、銀行の支店長にススメられて会員権を買ったが、代金は借入にしてくれとお願いされ承諾したものの、月々の返済金額や期間はまったく覚えていないと言ってました。

 

契約書類もすべて資産管理会社の社員任せというのだから、うらやましい限りです。

ただ社員といっても経理関係は身内らしいので安心なのでしょう。

 

メンバーを厳選するようなコースではありませんが、平均的に高収入が多かったようでした。

節約ムードなど無縁のバブル真っ盛りでしたから、今はどうなっているやら。

 

 

月例会などクラブ主催の競技会やコンペに出ると普段は回らいない方と同じ組になる。

それもまたメンバーであるクラブライフに欠かすことのできない、楽しい一面である。

 

変わったところでは造幣局に勤める方とご一緒したことがありました。

競技会の成績発表を待つ間、レストランでコーヒーやミルクのドリンクを手にして、貨幣や紙幣についてレクチャーを受けたことが懐かしい。

 

ジャズの楽譜や作品などを扱う会社で営業をしている方と回ったことがありますが、仕事内容については良くわかりませんでした。

 

オフィシャルハンディキャップを持たないゴルフの初心者は公式競技には出られませんが、月例会の谷越えショートホールで13打叩く人もおりました。

 

パチンコ屋を経営していて、社長室には防犯のために木刀を備えてあるという強者の親爺とは、月例会で何度も一緒になりました。

 

土曜杯で、大宮あたりでは有名なしゃぶしゃぶ屋の女将と一緒になりましたが、プレー中はいたって不愛想。

 

ところがクラブハウス内で常連客に出くわすと実に見事な愛想つかい。

そのギャップに驚き、思わず他の同伴者と顔を見合わせたことがありました。

 

因縁のクラチャン、倉又氏とは月例会で2度回りました。

ハンディキャップ2で、驚くほど飛ぶわけではないがドライバー、アイアンともにショットの精度が高い。

特にアプローチとパターは素晴らしい

 

「独り言なんだけど、ここは8番で届くなあ」

と耳元でささやかれ、7番をやめて8番アイアンを振り切ると本当にナイスオン。

 

「ナイス、ナイス、ポテンシャルはかなりのものだね」

倉又氏の声が響く。

 

<えっ、バブルの頃はポテンシャルなんて言葉、使わなかった?。

そうだったかなあ、まあ、硬いことは言わずに。>

倉又氏、その職業からは想像できないくらい、気さくで明るい人柄でありました。