岩井明愛(いわい あきえ)選手と岩井千怜(いわい ちさと)選手は、女子プロゴルフ界で注目を集める双子姉妹。
ともに高いショット精度とスピード感あるプレーを武器に、国内外で活躍しています。
本記事では、2025年時点の最新クラブセッティングを比較しながら、二人のプレースタイルの違いと共通点を明らかにします。
岩井ツインズのドライバー|ヘッドカラーとシャフトで個性を演出する姉妹
岩井明愛選手と岩井千怜選手は、どちらもヨネックスとクラブ契約を結んでいて、使用するドライバーも同社のフラッグシップモデルである「EZONE GT Type-S」です。
共通のモデルを使用しながらも、シャフトのスペックやヘッドカラーにそれぞれのこだわりが表れていて、スイングタイプやフィーリングに合った調整がなされています。
◎岩井明愛選手:ヨネックス EZONE GT Type-S(9度)
・シャフト:REXIS KAIZA-M(45.5インチ、S)
明愛選手は、より強く叩けるドライバーを求めていて、しっかりとした手応えのある先調子シャフト「KAIZA-M」を選択。
しなるタイミングと戻りの鋭さが特徴で、振り切っても安定した弾道を実現しています。
ヘッドカラーは爽やかなターコイズブルー。
視覚的にも力強さと集中力を引き出す色として、本人のモチベーションにも一役買っています。
◎岩井千怜選手:ヨネックス EZONE GT Type-S(9度)
・シャフト:REXIS KAIZA-L(45.75インチ、S)
千怜選手は、スイングリズムを崩さず軽やかに振り抜けるモデルを選択。
先調子かつ軽量設計の「KAIZA-L」はしなやかで、タイミングを合わせやすいのが特徴です。
ヘッドカラーはマゼンタピンク。
自分らしさを表現するカラーとして、本人もお気に入りの仕様となっています。
なお、両者が使用するEZONE GT Type-Sは、ヨネックス独自のカーボン複合ヘッド構造により、飛距離性能と直進性を高次元で両立しているのが特長。
ツアーでの実戦使用を通して、プロの要求に応える完成度が証明されています。
岩井姉妹のフェアウェイウッド|番手構成とシャフトで表れるプレースタイル
フェアウェイウッドは、どちらもヨネックスのEZONE GTシリーズを使用していますが、シャフトや使い方に姉妹それぞれの狙いが表れています。
◎岩井明愛選手
・使用モデル:ヨネックス EZONE GT フェアウェイウッド(3番14.5度、5番18度)
・シャフト:REXIS KAIZA-M(S)
明愛選手は、フェアウェイウッドでも飛距離を稼ぎたいタイプで、直進性と高さの出やすいセッティングを採用しています。
中調子で張りのあるKAIZA-Mシャフトにより、インパクトでのブレを抑え、安定した弾道を実現。
特に3Wでのロングショットには絶対的な自信を持っています。
注:中調子(ちゅうちょうし)については最後の章で詳しく説明します。
◎岩井千怜
・使用モデル:ヨネックス EZONE GT フェアウェイウッド(3番14.5度、5番18度)
・シャフト:REXIS KAIZA-L(S)
千怜選手は操作性を重視するプレースタイルで、5Wを状況に応じて使い分ける技術に優れています。
中調子のKAIZA-Lシャフトはしなりが滑らかで、テンポの良いスイングを支えながら、方向性の安定にも貢献。
タフなライからもフェアウェイウッドで攻めるプレーが特徴です。
岩井姉妹のアイアン|番手構成とモデルの使い分けに見る設計思想
ロングとミドル以降でアイアンのモデルを分けるスタイルは共通していますが、番手構成とアイアンへの意識に違いが見られます。
◎岩井明愛選手
▶使用番手
・5番・6番:ヨネックス EZONE GT アイアン
・7番〜PW:ヨネックス EZONE CB511 フォージド
・シャフト:REXIS KAIZA-i(S)
明愛選手は、ロングアイアンに寛容性と高さを求め、やさしさ重視のEZONE GTを選択。
ショートアイアンでは繊細なフェースコントロールを実現するため、軟鉄鍛造のCB511を組み合わせています。
このハイブリッド構成が、ショット精度の安定を支えています。
◎岩井千怜選手
▶使用番手
・6番:ヨネックス EZONE GT アイアン(やさしさ重視)
・5番〜PW:ヨネックス EZONE CB511 フォージド
・シャフト:REXIS KAIZA-i(S)
千怜選手は6番アイアンを2本入れるというユニークなセッティングで、キャリーの段差を埋めています。
距離の微調整や、球筋の打ち分けに対して非常に高い意識を持っていて、実戦での引き出しの多さが光ります。
岩井姉妹のウェッジ|フルショットから繊細なアプローチまでをカバー
◎岩井明愛選手
・使用モデル:ヨネックス EZONE W501(50度、54度、58度)
・シャフト:N.S.PRO 950GH neo(S)
3本体制でウェッジを揃え、多彩なシチュエーションに応じたショットを打ち分けています。
特に54度と58度はスピンの効きと高さのコントロールに優れていて、グリーン周りからピンを狙う場面で大きな武器となっています。
◎岩井千怜選手
・使用モデル:ヨネックス EZONE W501(50度、54度、58度)
・シャフト:N.S.PRO 950GH(S)
シャフトの違いにより、少ししなりのタイミングが異なります。
千怜はウェッジでも「構えやすさ」と「打感の柔らかさ」を重視し、タッチの再現性を大切にしています。
バンカーショットでも高いスピン性能を活かす場面が多いのが特徴です。
岩井姉妹のパター|構えたときの安心感が勝負を分ける
◎岩井明愛選手
・使用モデル:テーラーメイド スパイダーX カッパーホワイト スモールスラント
マレット型のヘッドはストローク時のブレを抑え、再現性の高いタッチを可能にします。
視覚的なアライメントがはっきりしていて、構えたときの安心感も大きな要因です。
◎岩井千怜選手
・使用モデル:オデッセイ ホワイトホット ブラック #5 CS(センターシャフト)
シンプルなブレード型ながら、センターシャフトによって真っ直ぐ構えやすく、方向性への集中力を高めています。
タッチに敏感な千怜らしいセレクトです。
岩井姉妹のボール|共通モデルでも狙いは微妙に異なる
◎姉妹共通:ダンロップ スリクソン Z-STAR XV
岩井姉妹はどちらも同じスリクソンZ-STAR XVを使用しています。
ツアー仕様の高性能ボールで、風に強く飛距離性能とスピン性能を兼ね備えています。
明愛はグリーン奥からの止めを重視し、千怜はアプローチの繊細なフィーリングを活かす方向で使い分けています。
中調子(ちゅうちょうし)とは?
中調子とは、ゴルフクラブのシャフトのしなり(フレックス)の位置を示す用語のひとつで、特にスイング中にどの位置が最もしなりやすいかを表しています。
・中調子はシャフトの中央部分が最もしなるタイプ
・英語では「Mid Kick Point」または「Mid Flex」と表現されます
特徴とメリット
- 振り抜きやすさと方向性のバランスが良い
- インパクトの再現性が高く、ミスが減りやすい
- 飛距離を出したいけれど方向性も保ちたい中級〜上級者向け
- ドライバーだけでなく、フェアウェイウッドやアイアンにも多用される調子
他の調子との違い
調子 | しなりの位置 | 特徴 |
---|---|---|
先調子 | ヘッド寄り | ボールが上がりやすくつかまりやすい(ドロー系向き) |
中調子 | シャフト中央 | バランス型。クセがなく扱いやすい |
元調子 | グリップ寄り | 左へのミスが出にくく、強いスイングにも耐える(フェード系や上級者向き) |
岩井姉妹のケース
- 岩井明愛:REXIS KAIZA-M(中調子) → 力強く振っても安定
- 岩井千怜:REXIS KAIZA-L(中調子) → テンポ良く振って操作性を確保
まとめ|ヨネックス契約の岩井姉妹が示す“セッティングの美学”
岩井明愛・岩井千怜両選手のクラブセッティングは、ヨネックス契約プロという共通点を持ちながらも、それぞれのスイングスタイルや戦略に応じた明確な個性が反映されています。
ドライバーではヘッドカラーとシャフト特性で個性を出し、アイアンでは番手構成を工夫。
特に千怜選手の「6番アイアン2本セッティング」は注目に値します。
ウェッジやパターでも、それぞれが自分のプレーに最適なモデルを選び抜いています。