ニチレイレディスは、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が公認する女子プロトーナメントのひとつで、毎年6月に開催されている歴史ある大会です。
その起源は1998年、「アピタ・サークルK・サンクスレディス」として産声を上げ、以降、数々の熱戦を通じて多くの名勝負を刻んできました。
2010年からは熱戦の舞台を千葉県千葉市にある袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コースに移しています。
常に改造を繰り返す新袖コースは自然美と造形美が調和し、戦略性に富んだ魅力的な林間コースとして知られ、ニチレイレディスは国内女子ツアーにおける初夏の風物詩として定着しています。
ニチレイレディスの大会概要と歴史
国内女子ツアーにおいて、初夏の重要な一戦として位置づけられている「ニチレイレディス」です。
関東を酷暑が襲う直前に開催されるこの大会には毎年多くの有力選手が集い、シーズン後半戦への勢いを占う意味でも注目度の高い一戦となっています。
とくに若手の台頭やツアー初優勝の舞台となることも多く、選手にとっては飛躍のきっかけとなる大会として知られています。
・大会名:ニチレイレディス
・主催:株式会社ニチレイ
・公認:一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)
・開催時期:毎年6月第3週から第4週
・開催場所:袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県千葉市若葉区)
・競技方法:54ホールストロークプレー(予選36ホール、決勝18ホール)
・賞金総額:1億円
・優勝賞金:1,800万円
ニチレイレディスの歴代優勝者とスコア
年度 | 優勝者 | 通算スコア | 備考 |
---|---|---|---|
2024 | 岩井明愛 | -13 | 最終日に64をマークし逆転優勝 |
2023 | 山下美夢有 | -17 | 大会レコードタイで完全優勝 |
2022 | 西村優菜 | -17 | トーナメントレコードで優勝 |
2019 | 鈴木愛 | -9 | プレイオフを制して優勝 |
2014-2016 | 申ジエ | – | 大会史上初の3連覇を達成 |
ニチレイレディス、近年の印象的なエピソード
・岩井明愛選手が最終日に64をマークし、通算13アンダーで逆転優勝。
最終18番ホールでのバーディーパットを沈める劇的な展開でした。
・2023年山下美夢有選手が2日連続で65をマークし、通算17アンダーで完全優勝。
21歳320日でのJLPGAツアー通算10勝を達成し、宮里藍選手に次ぐ史上2番目の年少記録となりました 。
・2022年西村優菜選手が通算17アンダーでトーナメントレコードを更新し、シーズン初優勝を飾りました。
ニチレイレディス開催、袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コースの概要と歴史
千葉県千葉市の豊かな自然に包まれた「袖ヶ浦カンツリークラブ」。
1960年の開場で、60年を超える歴史を誇ります。
当時の千葉市長・宮内三朗の「工業都市として発展する千葉にこそ、一流のレクリエーション施設が必要だ」との発案で、1958年に開発計画が練られます。
この理念と計画を受け、実行に移したのが旭建設社長・増田正二と、昭和電工社長・安西正夫の二人でした。
二人の熱意と手腕によって、わずか2年足らずの驚異的なスピードで「袖ヶ浦コース」が完成し、1960年11月1日、秩父宮妃殿下のご臨席を仰いで盛大な開場式が挙行されました。
この「袖ヶ浦コース」は、関東屈指の格式あるコースとしてその名を広め、多くの名勝負を生んできました。
1966年袖ヶ浦コースで日本オープンを開催。
1974年からは長い間、ブリヂストンオープンが開催されました。、
新袖コースでは2010年からニチレイレディスを開催し、現在に至っています。
ニチレイレディス開催の新袖コース開場と設計思想
時代の変化と需要に応える形で「新袖コース」が完成したのは、1965年のことです。
設計を主導したのは、クラブのコース委員長を務めていた石井泰助氏。
地形の持つ自然のうねりを巧みに活かし、林に囲まれた静謐な趣と、ショットメイキングに高い精度を求められる設計がコンセプトです。
開場後も飽くことなく、改造が繰り返されました。
現在では、戦略性と落ち着きを備えた“真にゴルフ倶楽部らしい”コースとして、高い評価を受けています。
袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース概要(2025年大会使用時点)
・ホール数:18
・パー:72(OUT 36 / IN 36)
・総ヤーデージ:6,594ヤード
・コースタイプ:林間コース
・主な特徴:各ホールは美しい林で完全にセパレートされ、視覚的な静けさと戦略的な難しさを同時に備えます。
フェアウェイの微妙な傾斜、グリーン前の池や谷越え、ドッグレッグの配置などが、選手に高度な判断と正確なショットを要求します。
トーナメント開催実績とニチレイレディスとの関係
新袖コースは、2010年のニチレイレディス開催地として採用されます。
以降はこの大会専用の舞台として定着しています。
大会の成長とともに新袖コースもまた、その名声を高め、今では全国のゴルフファンに名コースとして評価されています。
一方、前述の通り、旧来の袖ヶ浦コース(旧袖)は男子ツアーを中心に数多くの大会を支え、「日本オープン」をはじめ「日経カップ 中村寅吉メモリアル」「ブリヂストンオープン」など、豊富な開催実績を誇ります。
新袖と旧袖、それぞれが異なる個性と歴史を持ちつつ、同一クラブ内で並び立つ姿は、日本のゴルフ文化が積み重ねてきた時間の豊かさと、その未来への継承を象徴しています。