夏のゴルフを快適に変える“クーラーカート”が各ゴルフコースで導入ラッシュを迎えている。
気温35度を超える日が珍しくなくなった今、暑さ対策はゴルフ場にとっても死活問題だ。
プレーヤーの体調管理とラウンド中の快適性を保つため、カートそのものをアップデートする動きが本格化してきた。
送風機付きの「Cool Cart」を打ち出すPGMとアコーディア・ゴルフ。
そして、冷房機能を備えた本格クーラーカートを展開する西武・プリンスホテルズグループ。
それぞれが異なる技術と発想で、酷暑のなかでも心地よくプレーできる環境づくりに挑んでいる。
この記事では、三大運営会社による最新のクーラーカート戦略を比較し、導入状況や機能の違いを詳しく解説する。
夏のゴルフをより快適に過ごしたいゴルファーにとって、有益な選択の手助けになるはずだ。
PGMの「Cool Cart」|風速13m/sの快適送風
PGMが展開する「Cool Cart」は、最大風速13m/sを誇る送風機を4台搭載した専用カート。
前後席のそれぞれに送風機を設置し、人感センサーで乗車時に自動で起動する。
風量調節も可能で、上半身を直接冷やす設計が夏のラウンドに効果的だ。
安全面でも工夫が施され、視認性を高めるためにサイドガードを黄色に変更。
利用料金は1人あたり500円(税込)。
5月から全国148コースで順次導入を進め、PGM Web経由または電話予約で申し込みできる。
アコーディア・ゴルフの「Cool Cart」|沖縄発の全国展開
アコーディア・ゴルフも同名の「Cool Cart」を導入。
5月に沖縄の4コースでスタートし、7月以降は全国展開を予定している。
前後席に設置された送風機はPGMと同様に最大風速13m/s。
人感センサーによる自動起動機能や風量調整も搭載されている。
利用料金は1人500円(税込)。
予約はアコーディアWebから「Cool Cart」プランを選択する方式で、夏場の新しい標準装備として注目されている。
西武・プリンスの冷房付きカート|温度調整可能な本格派
西武・プリンスホテル系では、2025年7月1日から埼玉県内の4ゴルフ場、「久邇カントリークラブ」「武蔵丘ゴルフコース」「新武蔵丘ゴルフコース」「西武園ゴルフ場」で、クーラー搭載カートを本格導入する。
とくに「久邇カントリークラブ」と「武蔵丘ゴルフコース」では、全カートを冷房タイプに刷新。
温度設定は5〜26℃、風量は6段階で調整できる。
最大8時間の稼働が可能な蓄電システムを搭載し、シート自体にも冷却効果がある点が特徴。
追加料金はかからず、通常のプレーフィー内で利用できる点も魅力だ。
主要3社のクーラーカート比較表
運営会社 | カート名称 | 方式 | 主な機能 | 導入開始 | 料金 |
---|---|---|---|---|---|
PGM | Cool Cart | 送風機 | 風速13m/s、人感センサー、風量調整 | 2025年5月12日〜 | 500円/人 |
アコーディア・ゴルフ | Cool Cart | 送風機 | 風速13m/s、人感センサー、風量調整 | 2025年5月〜沖縄、全国展開は7月以降 | 500円/人 |
西武・プリンス | 冷房カート | 冷房装置 | 温度設定(5~26℃)、風量6段階、冷感シート | 2025年7月1日〜 | 無料 |
クーラーカートが導入された背景
地球温暖化と都市部のヒートアイランド現象により、夏の気温は上昇を続けている。
炎天下で長時間屋外にいるゴルファーのリスクは高まり、熱中症や脱水症状への懸念が現実のものとなっている。
こうした中でプレーヤーの安全と快適性を守るための設備投資は、ゴルフ関連企業にとって喫緊の課題の課題だった。
冷却装置や送風機を備えたカートの登場は、まさにそうした流れの中から生まれた合理的な進化といえよう。
他のゴルフ場にも導入されるか?
PGM、アコーディア、西武・プリンス各社の先行導入は、大きな注目を集めている。
とくにユーザーからの反響が強く、すでに使用して快適さを知ったゴルファーが「夏はクーラーカート必須」と語る例も増えている。
この傾向が続けば、他の中堅・地方ゴルフ場でも同様の装備が広がる可能性は高い。
導入コストや電源確保といった課題はあるが、ゴルファーのニーズに応え、夏場の集客力を維持する手段として、クーラーカートは今後の標準装備になっていくかもしれない。
まとめ|暑さ対策でゴルフが変わる
かつては炎天下のラウンドを耐え忍ぶしかなかったゴルフも、カートの進化で大きく変わり始めた。
送風型と冷房型、どちらを選ぶかはコースや個人の好みによるが、いずれにせよ「カートの快適性」がゴルフ場選びの新たな基準となる。
この夏、ラウンドの質を高めたいなら、まずはクーラーカートを体験してみることをおすすめする。