笹生(さそう)優花選手のメジャー制覇を早くから予言していた人がいた。
女子ゴルフ界のレジェンドで東京オリンピックのコーチでもある服部道子さんがその人。
2021年6月6日、19歳笹生優花選手が22歳畑岡奈紗選手とのプレーオフを制し『全米女子オープン』でメジャー初優勝を飾った。
10代でのメジャータイトル獲得は2008年『全米女子オープン」で勝利した朴仁妃(韓国)と2015年のリデア・コ(ニュージーランド)に続く史上3人目の快挙。
ちなみに男子は10代で世界のメジャー大会を制した選手はいない。
タイガーウッズでさえ最初のメジャー制覇はマスターズ優勝の21歳3ヵ月だった。
しかし、さすがの服部道子さんもこれほど早く笹生選手がメジャーを制覇すると予想していただろうか?
いや、いや、このように言っているからすごい!
「笹生さんは初出場の海外メジャーでいきなり優勝しても不思議ではない」
笹生優花選手19歳でメジャー制覇!ジャンボの弟子入りで素質が開花!
2021年6月6日、米カリフォルニア州オリンピッククラブ:レイクコース・6457yd:パー71で行われた全米女子オープン最終日。
この女子ゴルフで最も伝統あるメジャー大会が日本人選手二人のプレーオフになるとは、世界中の誰が予想しただろうか。
笹生優花選手は首位と1打差の2位で最終ラウンドをスタート。
3バーディ、1ボギー2ダブルボギーの73で、前日から2つスコアを落として通算4アンダーとした。
通算4アンダーは先にホールアウトしていた畑岡奈紗選手と並び1位タイ。
これによって、俄には信じられない日本選手二人のプレーオフへと突入した。
全米女子オープンのプレーオフはまず9番、18番をプレーし2ホールの合計ストロークで争う。
ここで勝敗が決まらなければサドンデスへ突入だ。
9番18番は笹生、畑岡選手ともにパーセーブで決着がつかずサドンデスへ。
互いにメジャー初制覇をかけて二人の緊張感は、すでにピークへ達していた。
サドンデスに入った直後のプレーオフ3ホール目。
笹生選手の1打目は左ラフにつかまったが、セカンドはピン手前約2.5メートルにつけるグッドショット。
このバーディパットを沈め、大きなガッツポーズで喜びを表現した。
日本選手同士の死闘に終止符が打たれた歴史的瞬間だった。
日本勢の女子メジャー制覇は1977年に全米女子プロゴルフ選手権を制した樋口久子、2019年に全英AIG女子オープンを制した渋野日向子に続き史上3人目の快挙。
さらに、当時19歳だった笹生選手は日本国籍だけでなくフィリピン国籍も有しており、フィリピン勢としては初めての海外女子メジャー制覇となった。
なお、父が日本人、母がフェリピン人の笹生優花選手は東京オリンピックにはフィリピン代表で出場し、20才になった現在は日本国籍を選択しています。
日本の国籍法では22歳までにどちらか一つを選ばなければならない。
2021年11月3日、笹生優花選手は日本国籍を選択したと表明しました。
全米女子オープンを19歳351日で優勝した笹生選手は、2008年に19歳353日で優勝した朴仁妃(韓国)を2日上回る大会最年少記録を更新。
なお、海外メジャー史上最年少優勝は2015年に当時18歳4カ月だったリディア・コ(ニュージーランド)のANAインスピレーション優勝がある。
全米女子オープンの制覇は日本勢初めてとなるが、マスターズの松山選手に続き、2021年は日本人二人目のメジャー制覇だから、ゴルフファンにはもうたまらない。
日本では残念ながら地上波放送はなかったが、日本女子ゴルフ界の新星が世界にまばゆほどのキラメキを放った。
過去には岡本綾子、小林浩美、宮里藍など多くの名選手が幾度となく挑み跳ね返されてきたメジャーの厚くて高い壁。
これを近年の日本女子若手プロは軽々と超えてしまう。
2019年にはメジャー初挑戦の渋野日向子選手が全英女子オープン制覇。
今度の笹生優花選手も、昨年の全米女子オープンに続くメジャー挑戦2戦目での優勝だ。
もう、『素晴らしい!』以外の言葉が見つからない。
笹生優花選手は日本人の父とフィリピン人の母の間にフィリピンで生まれた。
6歳でフィリピンから日本に移住し、小学校3年から再びフィリピンに戻っている。
父の影響で8歳からゴルフを始めて、2019年に日本のプロテストに合格。
2020年8月13日、19歳になったばかりのツアー出場2戦目で初勝利。
同年8月30日には北海道の名門・小樽カントリー倶楽部で行われたニトリレディスに優勝。
そして、今回の全米女子オープン制覇、これはもう本当に超弩級の新星だ。
日本とフィリピンの二重国籍を有しているが、東京オリンピックはフィリピン代表で出場する。
その後は日本国籍を選択し、『日本人の心で世界と戦いたい』と昨年から明言している。
現在は千葉県に拠点を置き、ジャンボ尾崎に師事し練習三昧の日々は有名だ。
黄金世代のスレンダー美女プロ、原英梨花選手の妹弟子になる。
ジャンボの元で相当厳しく鍛えられているようだが、今回の全米女子オープン優勝も、そのハードトレーニングあればこそだ。
ジャンボの教えと圧倒的な練習量で恵まれた素質が開花した笹生優花選手。
『笹生時代』の幕開けである。
『女タイガー』の異名までいただいたスケールの大きさは、末恐ろしささえ覚える。
彼女を筆頭に、2021年の日本女子ゴルフはどこまで世界に旋風を巻き起こすのか、本当に楽しみだ。
日本人で唯一全米女子アマチュア選手権を制しただけあって、東京オリンピックコーチでもある服部道子さんの選手を見る目に狂いはないようだ。
笹生選手のスイングは米国のゴルフ場で使用されている芝生に合っているし、パワーは男勝りでアメリカツアーでも十分通用すると、早くから太鼓判を押している。
その言葉が現実となって笹生選手はメジャー大会で勝利インタビューを受けることになった。
服部道子さんの慧眼に間違いはなかったことが証明されたのだ。
筆者は2年以内に笹生優花選手がメジャーを取る可能性は高いと読んでいたが、ここまで速いとは素直に脱帽する以外にない。
全米女子オープンの覇者、笹生優花選手のプロフィール
所属 :フリー
出身地 :東京都
国籍 :日本
生年月日:2001年6月20日
出身校 :代々木高校(東京都)
身長 :166cm
体重 :63kg
血液型 :B型
ゴルフ歴:8歳~
プロ成績:日本2勝、アメリカ1勝
笹生優花選手のクラブ・セッテングと使用ボール
【ドライバー】
キャロウェイ(Callaway)ドライバー
Rogue ST Triple Diamond:8.5度
【フェアウェイウッド】
キャロウェイ(Callaway)フェアウェイウッド
Epic Speed Triple Diamond:3番15度
【ユーティリティ】
キャロウェイ(Callaway)ユーティリティ
APEX UW:19度
|
【アイアン】
三浦技研(ミウラ:MIURA)アイアン
TC-101:5番~9番
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【ウェッジ】
キャロウェイ(Callaway)ウェッジ
Jaws Forged:46度、48度
Jaws:56度、60度
【パター】
オデッセイ(ODYSSEY)パター
TOULON SAN DIEGO
【ゴルフボール】
キャロウェイ(Callaway)ゴルフボール
Chrome Soft X
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2年以内にメジャー制覇の予想を軽々と超えた笹生優花のスイングは、海外ツアー向きだ!
東京五輪日本代表女子コーチであり、女子ゴルフ界のレジェンド服部道子さんは笹生優花選手にぞっこんだ。
渋野日向子選手の陰に隠れて目立たなかったが、2020年12月の『全米女子オープン』で13位に入り、改めて将来性を感じさせたが、試合前から笹生選手を評価していたのが服部道子さんだった。
2001年6月20日生まれの新星・笹生優花選手について『全米女子オープン』2日前に服部道子さんはこのように話していた。
「笹生選手のスイングは洋芝に合っている感じですね。
笹生選手はターフにクラブを押し込むような打ち方をする。
これが日本の芝生だと球が少し浮いて、クラブが抜けるような形になってしまうことがある。
だが、洋芝だと球が沈むため、押し込んで打てるのが有利なのです。
飛距離が出て球筋が高いので、砲台グリーンが多い今大会のコースでも、笹生選手は縦の距離感を合わせやすい。
だから、凄いアドバンテージを持っている」
全米女子オープンでは一時4位タイまで順位を上げるなど、期待にたがわぬ活躍を見せた。
2021年4月にハワイで開催された『ロッテ選手権』でも19アンダーの6位タイに入り、アメリカツーへの適性は間違いなくあるようだ。
笹生優花選手の最大の武器であり、魅力はなんといってもドライバーの飛距離にある。
服部道子さんはデビュー当初から、彼女の強さと柔らかさを兼ね備えるスイングを絶賛している。
2020年8月にはすでにこのように評しています。
笹生選手はパワーがあって柔らかく、再現性の高いスイングをしています。
女子の中に一人だけ男子が交じっているような印象です。
彼女のスイングは、ヘッドスピードも体重の乗せ方も男子並みです。
加えて、インパクトゾーンへクラブが上から入ってくるので、粘りのある洋芝にも強い。
トップ・オブ・スイングで左足がヒールアップせずベタ足になっています。
下半身が強く、体幹がしっかりしていて、足首が非常に柔らかい証拠。
ヒールアップしなければ下半身が杭のように地面に刺さって、どんなライからでも安定して打てますし、インパクトのタイミングも合いやすくなります。
特に感心するのはダウンスイングでシャフトが立って下りてくるところです。
グリップが腰の高さまで戻ってきた時にシャフトと腕のつくる角度が深い。
米ツアーの飛ばし屋、D・ジョンソンのような“タメ”ができています。
普通はシャフトがそれだけ立っていると、振り遅れやダフりが起きやすい。
彼女は左サイドに壁をつくって、一瞬で腰を回してヘッドを加速させていく動きが素晴らしい。
それが、あの飛距離を生み出します。
笹生選手はR・マキロイのスイングをまねて素振りをしているそうですが、マキロイも腰の回転やスイングの速さで飛ばすタイプです。
またインパクト直前まで腰がボールに正対する形になっているのでスイングの再現性が高まり、ショットの方向性も安定します。
初出場の海外メジャーでいきなり優勝しても不思議ではない、大きな可能性を秘めた超大型プレーヤーです。
服部道子さんの慧眼もすごいが、その予想と期待を軽々と越えてしまう笹生優花選手は、本当にスケールの大きい逸材ですね。
笹生優花がニトリレディスでツアー連覇!小祝さくらが2位
女子ゴルフの今季国内ツアー3戦目のニトリレディス最終日が8月30日、北海道・小樽カントリークラブ:6695ヤード、パー72において無観客で行われた。
単独首位で出た、つい先日ツアー1勝を挙げたばかりの19歳新人・笹生(さそう)優花が通算13アンダーで2戦連続優勝を飾った。
1打差の2位で最終日をスタートした小祝さくらとの白熱した優勝争いを制し、10代では宮里藍、畑岡奈紗に次ぐ史上3人目の快挙を達成した。
大会スポンサー・ニトリ所属で、地元北海道出身の美人ゴルファ小祝さくらは惜しくも2打差の2位に終わった。
悪天候により、決勝ラウンドの人数を減らすセカンドカットが実施され、当初の62人から1アンダー27位タイまでの34人で争われた。
笹生、小祝、アマチュアの六車日那乃の最終組は2時間半遅れの午後0時半にスタート。
雨が降り続ける中、21世紀生まれの笹生が1998年度生まれの黄金世代・小祝に競り勝った。
笹生は2番パー4で第1打を右に曲げてラフに入れると、目の前の木を越えるショットを狙った第2打は枝に引っ掛かり、そのままグリーン手前の池に入った。
1打加わり、池の手前から放った第4打をグリーンに乗せて2パットのダブルボギー。この時点で11アンダーの小祝に1打差の2位へと転落した。
続く3番で小祝がボギー。
10アンダーで並ぶと、4番で両者ともにロングパットを沈め、バーディーとした。笹生が6番のバーディーで抜け出すと、7、9番でともにバーディー。
雨が降り続ける中、笹生と小祝がまさに手に汗握る白熱した優勝争いを展開し、若い笹生が1打リードで前半を終えた。
後半に入って笹生が12番でバーディーバーディを奪い2打差と広げた。
小祝は17番でバーディーを奪うなどプレッシャーをかけたが、最後は笹生が逃げ切った。
10代による2戦連続優勝は、1988年のツアー制施行後では宮里、畑岡に次ぐ3人目の快挙。
ツアー初優勝から2戦連続優勝も西田智慧子、表純子、畑岡に次ぐ4人目となった。
日本の女子プロゴルフ界にまた、また新星誕生!
日本女子ゴルフツアーに新星が誕生した。
しかも桁違いの超ド級だ。
2020年女子ツアー第2戦目、NEC軽井沢72・軽井沢72GC北コース(6710ヤード、パー72):賞金総額8000万円《優勝1440万円》
2020年8月16日に行われたトーナメント最終日に臨んだ新星は、赤いウエアに黒いパンツと、あのタイガー・ウッズを彷彿とさせる服装で颯爽とプレーした。
本人にはその意識はまったくなかったと言うが、ウッズの勝負服と同じだったことで、報道陣や関係者から女タイガーの声が上がった。
その名は笹生(さそう)優花、19歳。
ドライバーの平均飛距離が260ヤードを超えるスケールの大きさだ。
そのスケールの大きさを如何なく発揮して関係者に衝撃を与えたのは、2位に2打差をつけて迎えた終盤16番のパー5だった。
得意のドライバーで283ヤードを飛ばすと、5番アイアンで楽々2オン。
ピン手前2メートル強のイーグルパットを決め、早々と優勝を決定的にした。
3位からスタートした最終日は1イーグル、7バーディーとスコアを伸ばし、大会タイ記録の63をマークしたのだから驚く。
思わず上がった女タイガーの声は、ゴルフウェアだけを指してのことではなかったのだ。
日本国内ツアー2戦目で初優勝を飾ったのだが、まさに圧巻のプレーと言えよう。
19歳57日でのツアー初優勝は、史上7番目の若さ。
21世紀生まれでは初の優勝となった。
最終日に同じ組で回り、4打差の2位に入ったツアー通算5勝の藤田は
「まるでタイガー・ウッズと回っているみたいだった。
無観客だったけど彼女をギャラリーさんに見てもらいたかった」
「女子ツアーだけど、男性が一人混じっているようだった。
あの年で、あんなに完成されたゴルフしていたら天才」
と驚きを隠さなかった。
高校3年だった昨年は米国ツアーの最終予選会(QT)と日本のプロテストを受検した。
米のQTには落ち、日本のプロテストに合格した。
それで、米国の名門ジョージア大に決まっていた進学を断り、日本でのプロ生活を選んだのだ。
「世界一になりたい」
プロ入りと同時に尾崎将司のジャンボ門下生となり指導を受け始めた。
1年もたたないうちに結果を出したのだから、師匠の喜びもひとしおだろう。
試合後、その尾崎将司師匠から祝福のコメントが届いた。
「パワーとスピードを兼ね備えた体を作り上げた本人の努力以外にない。
米ツアーでトップになりたいと目標にしているが、それが見えてきたんじゃないかな。
まずは1勝、良かった、よかった」
これを伝え聞いた笹生は素直に喜んだ。
「ありがたいですね。
そういう言葉を聞けるのはすごくうれしいです」
笹生はフィリピンと日本の二重国籍だ。
母がフィリピン人で父が日本人の笹生正和さん。
これはテニスの大阪なおみと似ている。
二重国籍を認めない日本では、22歳までに国籍の選択を迫られる。
笹生優花ははっきりと答えた。
「国籍選択の期限が迫ったら日本国籍を選択したい。
日本人の心で戦いたい」
彼女は現在、世界女子ゴルフランキングではフィリピン第1位。
2021年に開催される東京オリンピックはフィリピン代表での出場が濃厚だ。
その後は、
「日本女子ツアーで経験を積み、米国のQTへ行きたい」。
また一人、世界へとはばたく期待の星が女子ツアーから飛び出した。
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