昨シーズン終盤の「伊藤園レディス」で劇的な2勝目を飾り、同時に2025年度のシード権を確定させた山内日菜子選手。
彼女の躍進を支えているのは、緻密に計算されたクラブセッティングと、それに裏打ちされた確かな実力です。
本記事では、山内日菜子選手が信頼を寄せるギアの数々から、そのプレースタイルとゴルフ哲学を深掘りします。
また、彼女のこれまでのキャリアを振り返り、現在の輝かしい活躍に至るまでの道のりにも迫ります。
2勝目を挙げた山内日菜子選手のセッティングの特徴
2024年シーズンの終盤戦で2勝目を挙げ、今シーズ運のシード権を得た山内日菜子選手。
彼女のクラブセッティングは、自身のプレースタイルとパフォーマンスを最大化するために徹底的に練り上げられています。
最大の特長は、全体の軽量化とやさしさを重視したセッティングです。
以前は50Rだったドライバーシャフトを「スピーダーNXグリーン 40S」に変更し、「簡単にドライバーを打ちたい」という意図から”軽・硬”を選択。
これにより、安定性と振りやすさを向上させています。
また、特筆すべきは、6番アイアンを抜き、7番ユーティリティを投入している点です。
アイアンよりもユーティリティを好む彼女は、
「6番アイアンが難しく感じた時期があり、ミスショットが多かった。思い切ってユーティリティにすることでミスの幅が大幅に減り、ラフからのショットも楽になった」
と語っています。
パターは古いモデルである「スパイダーツアーX X7」を長年愛用し、「打感が一番好き」と厚い信頼を寄せています。
数々のパターを試した上で、「最終的に戻る場所」と表現するほど、彼女のゴルフに不可欠な存在です。
昨年途中にアイアンを易しいモデルに替えたり、シャフトを全体的に軽量化させたりするなど、試行錯誤を重ねて現在のセッティングにたどり着きました。
練習場での好調さだけでなく、試合の終盤でも安定したパフォーマンスを発揮できるよう、「ハードスペックは難しい」との経験から、やさしいスペックを選択しています。
山内日菜子選手の使用クラブ
・1W: Qi35(10.5度/スピーダーNXグリーン 40S)
・3W: Qi35 MAX(15.5度/スピーダーNXグリーン 40S)
・5・7W: Qi35 MAX(18.5・21.5度/スピーダーNXグリーン 50S)
・4・5U: Qi35 MAX レスキュー(23・27度/MCH 50S)
・7U: Qi10レスキュー(31度/MCH 50S)
・7I~PW: P770(MCI 60S)
・50・58度: ミルドグラインド4(N.S.PRO 850GH R)
・PT: スパイダーツアーX X7
・BALL: テーラーメイド TP5X
山内日菜子選手の略歴
山内日菜子選手は1996年4月22日に宮崎県で生まれました。
9歳からゴルフ競技を始め、宮崎・日章学園高校に進学しました。
その後、練習場移転を機に2年生からは通信制の宮崎東高校に転校しています。
山梨学院大学に進学しましたが1年で中退し、2016年にプロテストに合格。
プロ転向後は、2017年の下部ツアー「Hanasaka Ladies Yanmar Golf Tournament」でプロ初勝利を挙げました。
しかし、レギュラーツアーへの定着には時間を要し、2022年までの7年間で出場61試合、トップ10入りは2021年の「日本女子オープン」での5位のみという結果でした。
転機となったのは、QTランク181位で迎えた2023年です。
地元宮崎で開催された「アクサレディス」に主催者推薦で出場。
この与えられたチャンスに応え、劇的なツアー初優勝を飾ったのでした。
そして、2024年「伊藤園レディス」でツアー2勝目を挙げ、トッププレーヤーとしての地位を確固たるものにします。
山内日菜子選手 プロフィール一覧
項目 | 内容 |
---|---|
氏名 | 山内 日菜子(やまうち ひなこ) |
生年月日 | 1996年4月22日(29歳) |
国籍 | 日本 |
出身地 | 宮崎県 |
身長 | 162cm |
体重 | 60kg |
血液型 | O型 |
出身校 | 山梨学院大学中退 |
ゴルフ歴 | 9歳〜 |
プロ転向 | 2016年7月30日(LPGA入会 88期生) |
ツアー通算 | 2勝 |
趣味 | 映画鑑賞 |
まとめ
山内日菜子選手は、2024年の「伊藤園レディス」で2勝目を挙げたことにより、その実力とセッティングの重要性を改めて示しました。
彼女のクラブセッティングは、ドライバーシャフトの軽量化やユーティリティの積極的な導入など、自身の強みを最大限に引き出すための戦略的な選択が際立ちます。
特に6番アイアンを抜いて7番ユーティリティを入れた判断は、ミスの軽減とプレーの安定に大きく貢献していることがうかがえます。
また、古いモデルでありながら信頼を置くパターや、全体のスペックをやさしいものに調整した経緯からは、彼女のゴルフ哲学を垣間見ることができます。
やみくもに最新ギアを追うのではなく、自身の感覚と試合でのパフォーマンスを最優先するプロ意識の現れでしょう。
苦しい時期を乗り越え、地元宮崎での初優勝、そして2勝目へと繋がった山内選手の道のりは、まさに試行錯誤の末に答えを見つけた証です。
今季も、彼女が自身のセッティングを武器にさらなる勝利を重ね、ファンを魅了するプレーを見せてくれることを期待せずにはいられません。