「ゴルフの聖地」と称されるセントアンドリュース・オールドコース。
スコットランド東部に位置するこの伝説のコースは、単なるゴルフ場ではありません。
歴史、伝統、そして数々の名勝負が刻まれたその場所は、世界中のゴルファーにとって巡礼地とも言える存在です。
本記事では、セントアンドリュースの特徴、歴史、全英オープンとの関係をわかりやすく解説します。
セントアンドリュースとは?ゴルフ界における聖地の特徴
セントアンドリュース・オールドコース(St Andrews Old Course)は、スコットランド・ファイフ州の歴史ある街に位置する世界最古のゴルフ場です。
海岸沿いに広がる典型的な「リンクスコース」で、自然の地形を活かしたレイアウトが最大の特徴です。
細かな起伏に富んだフェアウェイ、吹き抜ける海風、そして戦略的に配置されたバンカーがプレーヤーに高い判断力を求めます。
・ホール数:18ホール、パー72
・総距離:およそ7,300ヤード(全英オープン開催時)
・名物ホール:17番「ロードホール」、巨大なダブルグリーン(7組計14ホールが共有)
特に注目されるのが、1番と18番ホールに隣接する「オールドコース・ホテル」です。
17番ホールのティーショットはホテルの建物を超えて打っていかなければなりません。
「ロードホール」と呼ばれ、世界でも屈指の難関ホールとして知られています。
このホールのグリーン中央には、「ロード・バンカー」とも呼ばれる深くて狭い「ポット・バンカー」が口を開けていて、ピンを狙うにはかなり高度な技術と勇気が要求されます。
また、セントアンドリュース独特の「ダブルグリーン」は、1つの巨大なグリーンを2つのホールが共有する設計で、最大で100ヤードを超えるパットが必要になることもあるユニークな構造です。
何とセントアンドリュースには、このダブルグリーンが7つもあります。
グリーンを共有するホール組み合わせは、次のようになっています。
セントアンドリュースのダブルグリーン一覧
セントアンドリュース・オールドコースにある「ダブルグリーン」は、全部で7つあります。
以下のように、それぞれ2つのホールが1つの大きなグリーンを共有しています。
共有ホール | グリーンの種別 |
---|---|
2番 & 16番 | ダブルグリーン |
3番 & 15番 | ダブルグリーン |
4番 & 14番 | ダブルグリーン |
5番 & 13番 | ダブルグリーン |
6番 & 12番 | ダブルグリーン |
7番 & 11番 | ダブルグリーン |
8番 & 10番 | ダブルグリーン |
※なお、1番、9番、17番、18番ホールは専用グリーン(シングルグリーン)となっています。
セントアンドリュースの歴史|ゴルフのルーツがここにある
セントアンドリュース・オールドコースは、スコットランド東部の歴史的な都市「セントアンドリュース」に位置し、世界中のゴルファーから「ゴルフ発祥の地」「ゴルフの聖地」と称されています。
その起源はとても古く、1552年にはすでにゴルフをプレーしていた記録が存在しています。
これは世界最古のゴルフ場とされる根拠の一つになっています。
当時は競技場というより、街の共有地(コモン)として地元住民たちが遊びでプレーしていたのが始まりでした。
しかしその後、ゴルフが貴族や上流階級に支持されるようになり、次第に競技としての形式が整っていきます。
1754年には、12名のジェントルマンたちによって「セントアンドリュース・ゴルフクラブ」が創設されました。
このクラブは、現在「R&A(The Royal and Ancient Golf Club of St Andrews)」と呼ばれ、ゴルフのルール制定・管理を担う世界的な機関として知られています。
R&Aは長年にわたり、アメリカのUSGAとともにゴルフの国際ルールの標準化を行い、今日の世界的なゴルフ競技の基盤を築いてきました。
また、世界的なアマチュア大会や全英オープンの運営など、世界中のゴルフ文化の発展に大きく貢献しています。
19世紀半ばには、ゴルフ界の伝説的人物であるオールド・トム・モリスがグリーンキーパー兼設計家として登場します。
彼はグリーンの整備技術を革新し、フェアウェイの芝管理やバンカーの配置に科学的なアプローチを取り入れました。
彼の息子であるヤング・トム・モリスも天才的なゴルファーとして名を馳せ、父子ともにセントアンドリュースの整備、改良に大きく貢献したのです。
親子二人の献身的な関りによって、オールドコースは現在のような形に進化し、戦略的で魅力的なコースへと成長してきました。
こうした数世紀にわたる努力の積み重ねと改良、そしてゴルフ界における中心的な役割を果たしてきた実績により、セントアンドリュースは今なお「ゴルフの原点」として世界中のプレーヤーから尊敬を集め続けているのです。
セントアンドリュースは誰でもプレーできるパブリックコース
セントアンドリュース・オールドコースは、世界中のゴルファーが予約してプレーできるパブリックコースです。
格式高い名門コースでありながら、バロット(抽選)制度や事前のオンライン予約によって一般のアマチュアゴルファーにも開放されています。
プレーのハードルは高くありませんが、人気のため希望日時は余裕を持って早めに予約することをおすすめします。
セントアンドリュース・オールドコースの公式サイト案内
セントアンドリュース・オールドコースの公式ウェブサイトは、以下のリンクからアクセスできます。
このサイトでは、オールドコースを含むセントアンドリュースの7つのゴルフコースに関する情報が提供されています。
ティータイムの予約、バロット(抽選)へのエントリー、コースの詳細、施設案内、ゴルフアカデミー、レストラン情報など、訪問者に必要な情報が網羅されています。
注:
「ティータイムの予約」とは、ゴルフコースでプレーを開始する時間(=ティーオフの時間)を事前に確保する手続きのことです。
✅ 用語の意味
ティー(Tee):ゴルフで各ホールの最初のショット(ティーショット)を打つ場所。
ティータイム(Tee Time):そのティーショットを打つ予定時刻のこと。
ティータイムの予約:特定の日の特定の時間にスタートできるよう、事前にその時間枠を押さえること。
オールドコースの詳細ページ
👉 Old Course | St Andrews Links
このページでは、オールドコースの歴史、特徴的なホール、予約方法などが詳しく紹介されています。
ティータイム予約に関する情報
👉 ティータイムの予約 | St Andrews Links
こちらでは、ティータイムの空き状況や予約手続きについての詳細が提供されています。
セントアンドリュース・オールドコースを訪れる際は、これらの公式サイトを活用して最新の情報を確認し、計画を立てることをおすすめします。
セントアンドリュースと全英オープンの深い関係
セントアンドリュース・オールドコースは、全英オープン選手権(The Open Championship)において最も多く大会が開催された名誉あるコースです。
初めて開催されたのは1873年(第2回大会)で、それ以来30回以上の開催実績を誇ります。
全英オープンは世界四大メジャーの中で最も長い歴史を持ち、1860年に創設されました。
セントアンドリュースでの開催はその伝統と格式を象徴するものとされており、10年に1度の頻度で開催されることが通例です。
中でも注目されるのが節目の記念大会は必ずこの地で開催されるという慣例です。
たとえば2000年の第129回大会、2010年の第139回大会、2022年の第150回記念大会がすべてオールドコースで行われてきました。
セントアンドリュースで優勝したゴルファーは、ゴルフ史にその名を深く刻まれます。
ジャック・ニクラス、タイガー・ウッズ、セベ・バレステロスなど、歴代の伝説的チャンピオンがこの地で栄光を手にしています。
2022年の150回記念大会では、オーストラリアのキャメロン・スミスが圧巻の逆転劇で優勝。
多くのファンに強烈な印象を与えました。
まとめ|セントアンドリュースはなぜ「ゴルフの聖地」なのか
セントアンドリュース・オールドコースは、単なるゴルフコースではありません。
500年以上の歴史、競技の進化、世界的な大会、そして数々の名勝負を刻み込んでいるのです。
自然の地形を活かした戦略的なリンクス設計、ダブルグリーンという特異な構造、そしてR&Aによるルールの発信地としての役割など、すべてのゴルフ場の原型、模範とも言える存在です。
また、全英オープンとの深い関係は、「ここで勝つこと」がゴルファーにとって最高の栄誉であることを物語っています。
セントアンドリュースを訪れることは、ゴルフを愛するすべての人にとって特別な意味を持ちます。
ただ単にスコアを競うだけでなく、ゴルフという文化に触れる巡礼の旅でもあるのです。