北海道ゴルフ界の象徴ともいえる「札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース」。
男子プロツアーの名物大会「ANAオープン」の開催地としても知られ、戦略的かつ美しいコース設計で高い評価を受けています。
本記事では、そんな輪厚コースの歴史的背景、井上誠一氏が設計に込めた想い、具体的なコースレイアウトやスペック、北海道ゴルフ界における位置づけまで、幅広く掘り下げてご紹介します。
初めて訪れる方はもちろん、既にプレー経験のある方にも、輪厚の奥深い魅力を再発見していただける内容です
北海道ゴルフ界を象徴する札幌ゴルフ俱楽部輪厚コースとは
札幌ゴルフ倶楽部輪厚コースは1958年の開場以来、北海道屈指の名門コースとして、プロ・アマ問わず多くのゴルファーに愛され続けてきました。
特に男子プロゴルフツアー「ANAオープン」の長年の開催地として全国的にその名を知られ、トーナメントコースとしての格式と風格を兼ね備えています。
輪厚コース最大の魅力は、戦略性と自然美が高次元で融合している点です。
設計を手がけたのは、戦後日本を代表するゴルフ場設計家・井上誠一(いのうえ・せいいち)氏。
彼の設計哲学である「自然との調和」が息づき、雄大な北海道の地形を活かしたダイナミックなレイアウトが随所に展開されています。
フラットでありながら決して単調ではなく、風・木立・傾斜など自然の要素がプレーに影響を及ぼす設計は、プロをも唸らせる完成度です。
輪厚とっておきのエピソード・井上誠一が残した“林を切るな”の教え
札幌ゴルフ倶楽部輪厚コースの名物ホールとして語り継がれているのが、戦略性に富んだ17番ホールです。
左ドッグレッグで設計されたこのホールは、プロ・アマ問わず数多くのプレーヤーを悩ませてきました。
このホールに関して、設計者・井上誠一氏が遺した印象的なエピソードがあります。
造成中、ある作業員が「左側の林を少し伐採すれば、見通しが良くなってプレーしやすいのでは」と提案したところ、井上氏は静かにこう語ったといいます。
「この林は、戦略そのものだ。一本たりとも切ってはならん」
井上氏のこの言葉通り、17番ホールの左サイドの林は一切伐採されず、現在に至るまでそのまま保たれています。
この林があることで、2オンを狙えばリスクが高く、刻んでもグリーン周りのバンカーが待ち構えるという、実に完成度の高い“戦略の結晶”となっています。
このエピソードはやがて「井上の森」と呼ばれ、輪厚コースを象徴する景観として、ゴルファーたちに語り継がれる存在になりました。
輪厚コースが北海道ゴルフ界で占める位置
輪厚コースは、ゴルフ場としての格・品質・戦略性のすべてが揃った国内有数のトーナメントコースであり、北海道ゴルフ界のリーダー的存在です。
北海道各界の重鎮がメンバーとして名を連ね、その名を全国に知られるワッツは道内で“別格”の存在といえるでしょう。
詳しくは 札幌ゴルフ倶楽部公式サイト をご覧ください。
北海道には他にもたくさん名コースがあります。
札幌ゴルフ俱楽部輪厚コースのスペックとレート
ティー | ヤーデージ | パー | コースレート |
---|---|---|---|
バック | 7,063ヤード | 72 | 74.6 |
レギュラー | 6,566ヤード | 72 | 71.8 |
フロント | 5,852ヤード | 72 | 70.2 |
※グリーンはベント(ペンクロス)1グリーン。
詳しくはコチラ!
輪厚コース設計のいきさつと井上誠一の想い
札幌ゴルフ倶楽部輪厚コースの設計を手がけたのは、ゴルフ場設計の第一人者で「コースに”思想”を宿す人」「大地と対話した唯一の設計家」などなど数々の異称を持つ井上誠一です。
彼が北海道で初めて手がけたコースでもあり、自然の地形を最大限に活かす設計哲学が随所に反映されています。
1956年(昭和31年)、札幌ゴルフ倶楽部が新たな本拠地としてコース建設を決定し、当時すでに注目を集めていた井上氏に設計を正式依頼しました。
井上氏は「この地の風土に合った、自然と一体化した戦略的なコース」を構想し、造成にも深く関与しました。
特に17番ホールの左ドッグレッグでは、「この林の木々は今後も伐採しないように」と語り、自然そのものを戦略に取り込む意図を持っていたと伝えられています。
また、造成中や開場後も何度も現地を訪れ、細部まで自ら監修したこだわりぶりが知られています。
輪厚コースの開場と改称の歴史
1956年: 札幌ゴルフ倶楽部創立。井上誠一氏に設計を依頼。
1958年: 「札幌ゴルフ倶楽部札幌コース」として開場。
1962年: 「輪厚コース」に名称変更。
札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース設計の井上誠一はどんな人物か?
井上誠一は、戦後の日本ゴルフ場設計において最も影響力のある人物の一人です。
英国の設計理論を基礎としながら、日本の風土と美意識を融合させた独自のスタイルで数々の名門コースを世に送り出しました。
特に「自然との調和」「飽きのこない戦略性」を重視し、1ホールごとに明確な個性を持たせる設計手法で知られます。
輪厚の姉妹コース、由仁コースの魅力とは
札幌ゴルフ倶楽部には、輪厚コースの他にもう一つのコースがあります。
それが由仁(ゆに)コースです。
北海道夕張郡由仁町に位置し、1986年に開場した比較的新しいコースで、輪厚と同じく井上誠一氏が設計を担当しました。
井上氏が晩年に手がけたコースとしても知られ、彼の設計思想の集大成とも言える構成が随所に見られます。
広々としたフェアウェイとアンジュレーションのあるグリーン、
そして自然の地形を巧みに活かしたホール構成が特徴です。
輪厚がトーナメントコースとしての格式を誇る一方で、由仁コースはよりプライベート感があり、戦略と景観のバランスを楽しみながらプレーできるコースとして、地元ゴルファーから高く評価されています。
姉妹コースでありながら、それぞれに個性を持つ輪厚と由仁。
井上誠一の思想を比較しながら味わえる貴重な機会として、両コースを巡るゴルフ旅行もおすすめです。
まとめ
札幌カントリー倶楽部輪厚コースは、北海道ゴルフの「顔」とも言える存在です。
その高い戦略性と美しい景観は、プレーヤーにとって大きな挑戦であり、同時に歓びでもあります。
ゴルフの本質が詰まった一流コースとして、今後も北海道ゴルフ界をリードし続けるでしょう。