ゴルフで右利きの方がボールを打つと、右へ大きく曲がっていく「スライス」。
飛距離をロスしたり、OB（アウトオブバウンズ）になったり、多くのゴルファーにとって悩みの種ではないでしょうか。
スライスを直すためには、まずその原因を理解し、正しい対策を実践することが重要です。
この記事では、スライスの主な原因と具体的な改善策を詳しく解説します。
また、似たような右へのミスショットである「プッシュアウト」との違いについても触れ、ご自身のミスを正確に把握する手助けとなるでしょう。
なぜスライスしてしまうのか？主な原因を徹底解剖
スライスが発生する原因は一つではありません。
主に以下の3つが挙げられます。
1. アウトサイドインのスイング軌道（カット打ち）
クラブが目標ラインの外側から内側へ下りてくるスイング軌道を「アウトサイドイン」や「カット打ち」と呼びます。
この軌道だと、ボールに横方向の回転がかかりやすく、結果的にスライスにつながります。
2. インパクト時のフェースの開き
ボールに当たる瞬間に、クラブフェースが目標方向に対して開いている状態です。
フェースが開いたままボールに当たると、スイング軌道に関わらず右に飛び出し、さらにスライス回転がかかってしまいます。
どんなに素晴らしいスイングをしていても、フェースが開いていればボールは右へ曲がってしまいます。
3. 体の軸のブレ（スウェー）
スイング中に体が左右に流れてしまう「スウェー」は、正確なインパクトを妨げます。
軸がブレると、正しい位置でボールを捉えられず、フェースの開きやアウトサイドイン軌道を誘発しやすくなります。
これらの原因は単独で起こることもありますが、多くの場合、複数組み合わさってスライスを引き起こしています。
スライスを直すための具体的な対策と練習方法
ご自身のスライスの原因が分かったら、具体的な対策と練習方法を実践していきましょう。
一つずつ丁寧に取り組むことで、きっと改善が見られるはずです。
1. グリップの改善：ストロンググリップでフェースを閉じやすくする
スライスに悩む方にとって、「ストロンググリップ」は非常に効果的な改善策です。
ストロンググリップにすることで、インパクト時にフェースが自然に閉じやすくなり、スライスを軽減できます。
・左手の握り方：左手の甲が斜め上を向くように握りましょう。
正しく握れていれば、左手の拳が2～3個見えるのが目安です。
親指がグリップの右側に来るように握ると、フェースを返しやすくなります。
・右手の握り方：左手と同様に、親指と人差し指の付け根で作るV字が右肩を指すように握ります。
右手の平をターゲットに向ける意識を持つとセットしやすいでしょう。
・ポイント：指先側で握り、親指と人差し指の間の付け根（股）をキュッと締めて、クラブがぐらつかないようにすることが重要です。
ストロンググリップ
2. アドレスの見直し：正しい構えがスイングの土台を作る
アドレスがスライスの原因になっていることも少なくありません。
構えを見直すだけでも、スイング軌道やフェースの向きに良い影響を与えます。
・肩のライン：アドレス時に両肩が目標に対して開いていると、アウトサイドイン軌道になりやすいです。
鏡やスマートフォンのカメラで確認し、肩のラインを目標と平行にするように意識しましょう。
右肘を少し曲げて引くように構えると、右肩が前に出るのを防げます。
・左肘の向き：左肘が外側を向いていると、アームローテーション（腕の回旋）がしにくく、フェースを返す動作ができなくなります。
左肘が自分の脇腹を向くくらいに絞って構えましょう。
・体重配分：ドライバーの場合、右足に6割、左足に4割くらいの体重配分にすることで、ボールを後ろから見て、体の右側のスペースを活かしたインサイドアウト軌道を作りやすくなります。
3. スイング軌道の改善：アウトサイドインをインサイドアウトへ
アウトサイドイン軌道を修正し、理想的なインサイドアウト軌道へと近づけるための練習です。
・ハーフスイングでの練習：いきなりフルスイングで軌道を直そうとすると、かえって大スライスやシャンクが出ることもあります。
まずはハーフスイングで、クラブがインサイドから下りてくる感覚を掴む練習をしましょう。
・ボールの置き方を変えるドリル：普段通りボールを置き、そのボールの右上と左下の2カ所に、クラブヘッドが通るだけの幅を空けてボール（またはマーカーやコイン）を置きます。
真ん中のボールを取り除き、置いたボールに当たらないように素振りをする（真ん中の位置を打つように素振りする）ことで、インサイドアウト軌道の感覚を養えます。
・体を意識したスイング：手や腕だけでクラブを振るのではなく、肩や下半身の回転を使った体全体のスイングを意識しましょう。
ボードを両手で挟んでスイングするドリルは、体を使ったスイングを身につけるのに役立ちます。
＊下半身の回転は、腰ではなくお尻を振ることを意識してください。
ダウンスイングでお尻を左にスエーさせるのではなく、左のお尻を真後ろに振るイメージです。
下半身の使い方について詳しくはこちらの記事でどうぞ。
4. インパクト時のフェース管理：フェースをスクエアに戻す意識
スライスの根本的な原因は、やはりインパクト時にフェースが開いていることです。
ここを改善することが、スライス克服の鍵となります。
・フェースを閉じる動きの習得：インパクトでフェースを閉じるためには、手首を掌屈（手の平側に曲げる動き）させる意識が有効です。
・トップで手首を掌屈させることで、フェースが締まった状態を作り、インパクトでの再現性を高めることができます。
・ハンガーを使ったドリル：ハンガーを腕から離れないように持ち、手首を掌屈しながらインパクトする素振りは、フェースを閉じる感覚を養うのに役立ちます。
・ティアップを高くする：ボールを上から打ち込む傾向がある方は、ティアップを高くすることで、アッパー軌道で下からヘッドが入りやすくなり、インサイドからクラブが下りてくるようになります。
これにより、スライスとは逆のフック回転をかけやすくなります。
ただし、意識してフェースを閉じる動作をしたり、手首を返す動作はやめてください。
引っかけ、ダフリ、トップ、テンプラなど他のミスを誘発します。
スライスとプッシュアウトの違いを知る：あなたのミスはどちら？
右に飛ぶミスショットには「スライス」の他に「プッシュアウト」があります。
この二つの違いを理解すると、ご自身のミスをより正確に判断し、適切な修正へとつながります。
| 項目 | スライス | プッシュアウト |
|---|---|---|
| 弾道の軌道 | 目標より右に飛び出し、空中でさらに右に大きく曲がる | 目標より右にまっすぐ飛び出すか、わずかに右に曲がる |
| 主な原因 | アウトサイドイン軌道 ＋ フェースの開き | インサイドアウト軌道 ＋ フェースの開き |
| フェースの向き（軌道に対して） | フェースが大きく開いている | フェースが開いているが、軌道と平行に近い |
簡単に言うと、
- スライスは「右に飛んで、さらに右に大きく曲がる」ミス
- プッシュアウトは「右にまっすぐ飛ぶ」ミス
となります。
ご自身のボールがどちらの挙動をしているのかを観察することで、より適切なスイング修正の方向性が見えてきます。
その他：クラブ選びもスライスに影響？
スライスの原因はスイングだけではありません。
クラブ自体が影響している場合もあります。
・クラブの長さ：ドライバーなど長いクラブほどスライスしやすい傾向があります。
・振り遅れが発生しやすく、フェースが開きやすいためです。短く持つことでコントロール性を高めることも有効です。
・ヘッドスピードに合ったクラブ選び：シャフトの硬さや重さが合っていないこともスライスの原因になることがあります。
ご自身のヘッドスピードに合ったクラブを選ぶことも検討してみてください。
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まとめ：焦らず地道な練習がスライス克服への道
スライスの修正には時間がかかることもありますが、焦らず、一つ一つの原因と対策を理解して、地道に練習を重ねることが上達への道です。
今回ご紹介した原因と対策を参考に、ぜひ次の練習で試してみてください。もし可能であれば、ゴルフスクールなどでプロのレッスンを受けることも、原因を特定し、効率的に改善するために非常に有効です。
まっすぐ飛ばせる喜びを味わうために、今日からスライス克服に取り組んでみましょう！
