驚いてはいけません、平成2年2月のゴルフ会員権相場だ。
東京都小平市にある小金井カントリー倶楽部が4億2千万円、神奈川県の相模原ゴルフクラブが2億2千万円など、関東地域だけで1億円を超えるコースが10カ所以上。
1,000億円も集めて倒産した『茨城カントリークラブ事件』が起きるなど、今では考えられないほど異常な金がゴルフ会員権に集まっていたのだ。
これほどのバブルもないだろう。
夢とも悪夢とも言える時代をちょとだけ振り返ってみよう。
バブル期のゴルフ会員権相場、平成2年関東のランキング夢物語!
ゴルフ場経営者がメンバーから多額のお金を集めて庶民を食い物にする構図は、昭和40年代から見られるようになった。
高度経済成長の波の乗って、サラリーマン層にゴルフが浸透し出したのと軌を一つにしている。
昭和58年のプラザ合意により円高が容認されると一挙にゴルフブームが拡大し、ゴルフ会員権の相場は高騰し始めるのであった。
60年代に入り、リゾート法案が成立するとゴルフ会員権はさらに急騰し、日本中いたるところでゴルフ場開発が進み、高額の会員募集は瞬く間に完売した。
関東や近畿圏では1000万円の募集金額など低額の大衆コースとして扱われ、ついには1億円の募集コースまで現れたのである。
このころのゴルフ場建設には、一ホール換算で3億円が必要と言われていた。
人件費、建築資材、土地代の高騰とゴルフ会員権成金たちが、豪華なクラブハウスの建設にしのぎを削ったことにより、18ホール規模のゴルフ場建設に50億から60億円を必要としたのである。
関東地方には100億円集めても完成しなかったコースもあり、東北地方で有名人が開発を手掛けたゴルフ場は、金融機関から300億円の融資を受けながら、ついに完成することなく破産してしまう。
前者は一般人1,000人以上から金を集めて、コース未完成のままで倒産させたのであるから、罪が重いと言わざるをいない。
後者の場合、主な債権者は金融機関であり、ごく一部が建設関係者であったから、玄人同士のビジネスとして世間から責められる要素は少なかった。
どちらも質の悪い、地上げ屋だとか地面師と言われる連中に喰われてしまったのだろう。
1991年にはとんでもない事件が明るみになった。
茨城県高萩市にゴルフ場用地を確保しただけでほぼ造成には手を付けず、何と1,000億円も集めて倒産した、『茨城カントリークラブ』事件だ。
この実質的な経営者は、ラスベガスの賭博場では超のつく有名人だったようである。
茨城カントリークラブの会員権を買った層は、決して富裕層ではない。
額に汗して働き、10万円ほどを頭金にしてローンを組むような人たちが大半だ。
そのかなりの割合が、ラスベガスに流れたのだからたまらない。
この極悪人は年に数回渡米し、そのたびに何億円も負けて帰ってくるのであるから、ラスベガスのカジノやホテルは彼の足元にふかふかの赤絨毯を敷いて遇するのであった。
事件が表ざたになってほどなく病に倒れ、数年後には亡くなったようである。
今頃は閻魔様にねんごろに可愛がられていることだろう。
茨城カントリークラブは2,830人限定と銘打って会員募集していたのだが、事件後検察当局が調べたところ52,000人以上を集めていたと言うのだから言葉を失う。
すでに人数がはるかにオーバーしていることを知りながら、多くの会員権業者が募集に関わっていたことも被害額と被害者数がこれほどまで拡大した大きな要因であった。
民事訴訟が起こされ、賠償請求された会員権募集関係者は100人を超えていた。
そのリストを見たことがあるのだが、ゴルフ会員権の取扱高300億円を売り物にしていた、大手業者Mの経営陣2人の名前を見つけた時は、少し驚いたものである。
長年にわたり会員権業を営む二人が、茨城カントリークラブの胡散臭さに気づかぬわけはない。
バブルはバブルでも茨城カントリークラブ事件は、悪意に満ちた多くの人間によって膨らみ、文字通り泡と消えたのだ
この事件を機にゴルフ会員権の乱売を抑制する『ゴルフ会員契約等適正化法』が平成4年5月に成立したのであるが、正直言って時期遅しである。
法案が成立したあたりからゴルフブームに陰りが見え始め、当然のごとく会員権ブームが消滅した挙句、現在は人口減少が追い打ちをかけているのであるから、日本ではたとえ10万円であっても1コースで数千人の会員を集めることは難しいだろう。
しかし、メンバーシップのゴルフ場をセミパブリック化するような運営会社が増幅し、曖昧なダイレクトメールでお客さんを引きずり回す業者が、会員権大手をいつまでも名乗っているようでは、ゴルフ会員権受難者がいなくなるとは考えられない。
バブルを知らないあなたに、参考までにゴルフ会員権の相場がピークだったと思われる、1990年(平成2年)2月の東京都、神奈川県のデータをお見せしましょう。
このころの会員権における預り金総額は10兆円を超え、ゴルフ会員権 相場の時価総額は100兆円を超えていたと推測されている。
今では信じられない夢のような数字が並んでいます。
単位は万円ですので、赤羽ゴルフ倶楽部は2,050万円、小金井カントリー倶楽部は4億2千万円と言うことです。
くれぐれもお間違いないように。
<東京都・平成2年2月の相場>
赤羽ゴルフ倶楽部のゴルフ会員権 相場 2,050
青梅ゴルフ倶楽部のゴルフ会員権 相場 6,050
小金井カントリー倶楽部のゴルフ会員権 相場 42,000
桜ヶ丘カントリークラブのゴルフ会員権 相場 14,900
GMG八王子ゴルフ場のゴルフ会員権 相場 1,500
立川国際カントリー倶楽部のゴルフ会員権 相場 4,450
多摩カントリークラブのゴルフ会員権 相場 7,800
東京五日市カントリー倶楽部のゴルフ会員権 相場 2,800
東京国際カントリー倶楽部のゴルフ会員権 相場 4,150
東京よみうりカントリークラブのゴルフ会員権 相場 14,900
八王子カントリークラブのゴルフ会員権 相場 9,650
府中カントリークラブのゴルフ会員権 相場 10,000
武蔵野ゴルフクラブのゴルフ会員権 相場 5,125
よみうりゴルフ倶楽部のゴルフ会員権 相場 28,000
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*単位万円
<神奈川県・平成2年2月> 厚木国際カントリー倶楽部 11,300
伊勢原カントリークラブ 995
磯子カンツリークラブ 9,800
大秦野カントリークラブ 1,695
小田原湯本カントリークラブ 6,800
鎌倉カントリークラブ 1,975
清川カントリークラブ 4,600
相模湖カントリークラブ 4,700
相模野カントリー倶楽部 985
相模原ゴルフクラブ 22,000
湘南シーサイドカントリー倶楽部 4,100
大厚木カントリークラブ 2,300
大相模カントリークラブ 2,715
茅ヶ崎ゴルフ倶楽部 2,800
津久井湖ゴルフ倶楽部 1,675
東名厚木カントリー倶楽部(単独) 1,380
戸塚カントリー倶楽部 17,150
東京カントリー倶楽部 1,575
長竹カントリークラブ 5,850
中津川カントリークラブ 4,225
箱根カントリー倶楽部 14,950
葉山国際カンツリー倶楽部 2,400
平塚富士見カントリークラブ 9,100
本厚木カンツリークラブ 8,350
湯河原カンツリー倶楽部 2,175
横浜カントリークラブ 8,750
レイクウッドゴルフクラブ 30,000
レインボーカントリー倶楽部 5,225
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*一部コースは名称変更があり、また一覧表には載せていないコースもあります。
【千葉県のゴルフ会員権相場】
*平成2年2月時点のゴルフ 会員権相場で、単位は万円。
【茨城県のゴルフ会員権相場】
【栃木県のゴルフ会員権相場】
【群馬県のゴルフ会員権相場】
【静岡県のゴルフ会員権相場】
【山梨県のゴルフ会員権相場】
【新潟県のゴルフ会員権相場】
【福島県のゴルフ会員権相場】