OECD加盟国は15年以上も前からすべての国々が取り入れ、アジアで採用されていないのは中国、北朝鮮、モンゴルそして日本だけ。
これが何か、あなたは分かりますか?
日本は本当に遅れた一面を持っています。
発展途上国以下、独裁国家並みなんて恥ずかしいですね。
DGPの伸び率が停滞したままなのも、こういう岩盤規制が大きな理由でしょう。
日本が世界に誇る?中国、北朝鮮と同レベルの規制とは『電波法』。
つまり、周波数(電波)オークションから頑ななまでに逃げ回ることです。
電波オークションで得られる歳入増は2千億円規模になる
2020年のノーベル経済学賞は『オークション理論』だった。
受賞理由をスウェーデン王立科学アカデミーは次のように発表した。
「両氏は無線周波数など従来の方式では売ることが困難だったモノやサービスを的確に見識し、新たなオークション形式を設計した」
「そして、世界中の競売の出品者や購入者、さらに納税者に恩恵をもたらした」
受賞した両氏とは、米スタンフォード大学のポール・ミルグロム教授(72)とロバート・ウィルソン名誉教授(83)のことだ。
残念ながら、王立アカデミーの声明にある『世界中の納税者に恩恵をもたらした』に日本の納税者含まれていません。
なぜなら、世界中の多くの国々が実施して国家の経済に大きく貢献している『周波数オークション』を日本は実施していないからです。
周波数オークションで得られる国の歳入が、如何に大きいものであるか数字を見て頂きたい。
これを見ると本当にブッタマゲてしまいますよ。
日本の電波使用料は公共放送のNHKが約21億円、日本テレビ系列は約5億円、TBS系、フジテレビ系、テレビ朝日系、テレビ東京系は約4億円と推定されています。
これに対して、携帯電話キャリアのNTTドコモ201億円、KDDI 131億円、ソフトバンク165億円となっている。
テレビ局がいかに優遇されているかわかります。
これにラジオや無線などを合わせた、日本の電波利用料は総額716億円強と推定される。
アメリカでは電波オークションによる連邦政府の歳入が5千億円規模となっているのだから、この差はあまりにも大きい。
日本も電波オークションを実施すると2千億円規模の歳入が見込めると言われる。
イギリスで約2千300億円のオークション収入があるので、実にもったいない話ですね。
これは国にとっても、国民にとっても大きな損失を生んでいることになります。
なぜ日本でやらないのか?
大きな理由は二つある。
一つは総務省が省益を優先していること、もう一つはテレビ局が既得権にしがみついて、スッポンのごとく離さないからだ。
より大きな障害になっているのが、後者のテレビ局だろう。
電波使用料はアパートやマンションの家賃に似ている。
大家が国でテレビ局や携帯などの通信社が店子だ。
だから、周波数オークションを導入したからと言って、既成の業者にすぐ立ち退けということにはならないはずだ。
それでも、テレビ局が反対するのは、使用料の将来的な高騰と新規参入を極端に恐れるからだ。
電波法とともに問題の根っこにあるのが『放送法』です。
放送法は言わずと知れた、総務省による放送免許の許認可制度。
電気通信の送信を行う者は、すべてこの法律によって規制されることが明記されている。
電波法で日本は『比較審査』方式といって、総務省が業者に電波を割り当てる方法を用いている。
これがまた、業者選定において不透明だと批判されて久しい。
しかし、『電波法』の比較審査と『放送法』の両方でテレビ局を管理したい総務省の思惑と、新規参入を拒みたいテレビ局の魂胆が奇妙な一致を見て、周波数オークションを妨害しているのです。
国民の損害という面から見ると一番の問題は、日本国政府の放送事業歳出費は2百数十億円に及ぶのに、テレビ局が38億円(2007年度)しか払わず、約7倍の格差がある事実でしょう。
2007年に問題提起されながら、10数年間改善されないこの事態を国民はどうとらえるべきか。
総務省並びに日本政府は、テレビ局と持つつもたれつがよほど居心地が良いと言うことでしょう。
自民党に限ったことではありませんよ。
問題提起された後の2009年から2012年まで、民主党が政権を担当していたのですから。
2009年、民主党政権で一瞬『電波オークション』を検討したが、あっという間に話は立ち消え。
その後も一切、民主党関係者から声は上がりません。
もう一度書きます。
OECD加盟国は日本以外の37ヶ国すべて周波数オークションを実施しています。
アジアでこの方式を取り入れていなのは、中国、北朝鮮、モンゴル、そして悲しいかな我が日本の4カ国です。
世界中がやっているから無条件でやるべきだというつもりは、全くありません。
しかし、多くの国々で20年以上にわたり実施されている周波数オークションは、大きな問題や批判がなく運用できている実態があります。
それのみならず、国家の財政に大きく寄与していることも見逃してはなりません。
法律の改正など課題もありますが、それが面倒だと言って改善しないのであれば、もはや国政とは言えません。
もう一つ数字を見てみましょう。
日本の携帯電話など通信の売り上げが約13.6兆円、放送の売り上げが約3.9兆円です。
さらに新聞、雑誌、インターネット、広告代理店などを加えた情報産業全体の売り上げが約82兆円に上ります。
これに対して電波使用料が716億円ですから、あまりにも低すぎます。
日本の野党には全く期待できません。
彼らは国民の血税でぬるま湯につかって、そこから抜け出したくないのです。
選挙に当選したいがための人気取り発言に終始し、国民ではなくメデアを向いた言動。
何のために政治家になったのか分からない連中が、選挙が近くなると離合集散を繰り返す。
そんな野党につられて国民がバカ騒ぎしている間にも、世界の技術は進歩し、情勢は刻一刻と変わります。
何をやっているのか全く分からない学術会議よりも、国民にとっては周波数オークションの方がはるかに大事な問題です。
仮にオークションによる歳入が2千億円とすると、1千200億円を超える増収になるのです。
しかも、1年限りではなく毎年、歳入として計上されるのですからとてつもなく大きな貢献です。
日本が立ち遅れているG5や次にやってくるG6の開発にも多額の予算を配分できます。
G5の普及には基地局の増設が不可欠です。
これを国家事業として取り組まなければ、日本はIT分野で世界に大きく遅れることになるでしょう。
デジタル庁を恒久化する先に菅首相は周波数オークションを見据えていることを、心から期待したいものです。
内閣官房参与に就任した高橋洋一氏が『周波数オークション』へのノーベル経済学賞授与に対して言及していました。
14年前に総務省で『電波オークション』を検討した時は見事に潰された、と。
こちらにも、その雪辱を誓っていることを期待したいものです。