複雑なゴルフオリンピック代表選考基準を簡潔にわかりやすく説明します。
男子は松山英樹の優位は動かず、2つ目の座を手にするのは今平周吾か石川遼か、或いは第3の男が現れるのか。
女子は畑岡奈紗がこのまま逃げ切るのか、二人目は渋野日向子か鈴木愛か、はたまた3人出場が実現するのか。
本当に目が離せなくなったのが女子代表争い。
オリンピック代表は男子が2020年6月22日時点、女子は2020年6月29日時点のオリンピックゴルフランキングを基に出場選手は決まる。
ただ、これがとても複雑な規定となっているので分かりやすく解説します。
東京オリンピックのゴルフ代表選出の条件は複雑だ!
IOCによる東京オリンピック出場選手選考基準は下記のようになっている。
1:東京オリンピックゴルフ選手の出場は男女とも60名で、原則としてオリンピックゴルフランキング60位以内から選出される。
2:各国の代表者は男子が2020年6月23日、女子は2020年6月30日時点でのオリンピックゴルフランキングに基づいて決定する。
3:原則1カ国2人までだが、オリンピックゴルフランキングの15位以内であれば1カ国につき最大4人まで出場できる。
4:五大陸アフリカ、アメリカ、アジア、欧州、オセアニアで60位以内のランクインがない場合でも男女それぞれ、最低1名の出場枠を確保する。
5:日本は開催国として男女それぞれ、最低1名の枠を保有する。
◎例えば、世界ランキング上位15位すべてをアメリカ人選手が独占したとしましょう。
しかし、1か国最大4人までなので、5位~15位の選手には出場権が与えられない。
◎16位以下については15位以内の有資格者も含めて、60位以内から1カ国2名を上限とする。
◎これらの条件を日本代表に当てはめると、ランキング15位以内に日本選手が1名入り、なおかつ60位以内に1人以上ランクインしていたら2名の出場が可能になる。
◎仮に15位以内に誰も入らなかった場合でも、60位以内に2名以上ランクインされていれば、2名が選考される可能性は高い。
◎日本は開催国枠があるので、万が一誰一人ランクインしていなくとも男女それぞれ一名づつ出場権が与えられる。
◎5大陸のアフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアごとに、一人も出場資格を有する選手がいない場合でも男女ともに最低1人の出場枠が保証されてる。
◎上記の条件を組み合わせると、ランキング60位以内が即出場権獲得とはならない。
まずは、IGFが作成・発表するオリンピックゴルフランキングにランクインすることを第一条件としてアスリートのサバイバルは続く。
オリンピック出場選考基準となるゴルフワールドランキングとは
オリンピック出場選手の選考基準となるゴルフワールドランキングの計算方法は、極めて複雑です。
ここでは概略を述べます。
計算方法は過去2年間でのトーナメントの獲得ポイントを出場試合数で割り、平均点を算出してランク付けします。
その平均点が大きいゴルフプレーヤーが、上位にランクされることになります。
総獲得ポイント制ではないのが大きな特徴となっています。
しかも、過去2年間と言っても対象となるのは直近の52試合だけです。
2年間で60試合出場していたとしたならば、古い方から8試合は除外されます。
さらに複雑になるのはここからで、ある選手の出場試合数がたとえ2年間で30試合であったとしても、40で割ります。
つまり、出場試合40以下の者はすべて40で割るのです。
したがって、いくら勝利数が多くとも出場試合数が39試合以下の選手はとても不利になります。
また、直近13週の試合で得たポイントはそのまま加算されますが、14週前の試合からは毎週1.09%ずつポイントが減っていきます。
トーナメントの格や大会によってもポイントは大きく違います。
これらの計算が複雑なため、獲得賞金総額や勝利数からワールドランキングを割り出すことはできません。
2年間で獲得したポイント数÷2年間の出場試合数(52試合まで)=ワールドランキング平均ポイント
↑↑↑この数字の大きいプレーヤーが上位にランクされることになります。
上記一覧は、ワールドランキングベスト男子10です。
ポイント(獲得総ポイント)を試合数で割ると平均ポイントが算出され、総ポイント数の多い選手が上位とは限らないことが分かります。
トーナメントの格とツアーの格によって、与えられるポイントは大きく変わります。
最高点は男子の4大メジャーで、優勝のポイントが100点と言われています。
女子のメジャー優勝は80点から85点だったと思います。(すみません、詳しいデータを入手できずに)
2019年8月、全英女子オープンで渋野日向子が勝って、80点以上のポイントを獲得しています。
◎ポイントが高いツアーの順位は下記のようになっている。
◎下記がゴルフワールドランキングが適用される全ツアー。
PGA TOUR(PGAアメリカツアー)
PGA European Tour(PGA欧州ツアー) Japan Golf Tour(日本ゴルフツアー) PGA Tour of Australasia(PGAオーストラリアツアー) Sunshine Tour(サンシャインツアー) Asian Tour(アジアンツアー) Web.com Tour(ウェブドットコムツアー)*PGAアメリカツアーの下部 European Challenge Tour(欧州チャレンジツアー)*PGA欧州ツアーの下部 PGA Tour Canada(PGAツアー・カナダ)*Web.com Tourの下部ツアー PGA Tour China(PGAツアー・中国)*Web.com Tourの下部ツアー PGA Tour LatinoAmerica(PGAツアー・ラテンアメリカ) One Asia(ワンアジアツアー) Korean Golf Tour(韓国ゴルフツアー) Asian Development Tour(アジアディベロップメントツアー |
東京オリンピック ゴルフ選手代表へ、男子、女子の道のり
現在、東京オリンピック ゴルフ選手への道のりで先頭を切っているのは、男子ではアメリカツアーを本拠地としている、ご存知松山英樹プロです。
今平周吾が2位につけているが、2019年7月7日、石川遼が日本プロ選手権でメジャー初制覇、ツアー3年ぶりの優勝を飾って一挙に上位に躍り出て、2位以下は混沌としてきた。
この勝利で向こう5年間のシード権を確保した石川遼選手は、2020年東京オリンピック出場と米ツアー再挑戦を目標に掲げ、挑戦意欲と輝きを取り戻したようだ。
さて、ここで前回リオデジャネイロ五輪のおさらいをしてみましょう。
男子(7128YD,パー71)は池田勇太と片山晋呉が代表でした。
池田勇太21位タイ、片山晋呉54位タイという成績が残っています。
この時の栄えある優勝者、金メダリストはイングランドのジャステン・ローズでした。
日本でもおなじみの選手ですね。
2位、銀メダルがヘンリック・ステンソン(ニュージーランド)3位、銅メダルにはマット・クーチャー(米国)が輝いています。
女子(6245YD,パー71)は日本から野村敏京と大山志保が出場しました。
野村は大健闘の4位で、惜しくもメダルを逃しました。
野村は最終日、この大会自身のベストスコアとなる6バーディー、ボギーなしの65で回り、追い上げたのですが表彰台には一打及びませんでした。
女子の金メダルは韓国の朴仁紀。銀メダルはニュージーランドンのリディア・コー。
銅メダルは中国のフォン・ジャンジャンでした。
前回のリオで日本の男子は苦戦、女子は大健闘というところでしょうか。
東京オリンピックのゴルフ選手代表へ、先頭を走る松山英樹選手。
今回は自国開催でもあり、よもや辞退などと言うことはあり得ないでしょう。
出場してメダルを争う雄姿を見たい、と思っているファンは大勢いますよ、松山君!
松山プロクラスになると五輪での金メダルとグランドスラム(マスターズ・全英オープン・全米プロ・全米オープン)で優勝するのと、どっちをより強く望んでいるのだろうか。
素人の凡人には想像するのも難しいことではあります。
リオのテニスで銅メダルに輝いた錦織プロは、とっても嬉しそうでしたね。
しばし、感激と感慨に浸っていたように見えました。
敢えて、凡人が大胆に予測してみました。松山プロが五輪金メダリストになったら、表彰台でシャイな彼には珍しく、真っ黒に日焼けした顔に白い歯をのぞかせ、クシャクシャになって喜ぶ。
グランドスラムを取ったら、優勝インタビューで思わず声を詰まらせ、足元の芝生に一滴の水分を与える。
さて、あなたはどう推理しますか?
あと一年を残すだけとなったオリンピックゴルフ代表選手選考。
クォリファイングトーナメント(QT)で奮闘するプロゴルファーだって、ノーチャンスとは言いきれませんが、ここから這い上がって五輪出場となると時間的にかなり厳しいでしょう。
ちなみに、このQTの代名詞は『過酷』。
クォリファイングトーナメントとは簡単に言えば、シード権を持たないプロが翌年のツアー出場のシード権をかけて争うトーナメントのことです。
ファースト、セカンド、サード、ファイナルを経てQTランキング獲得へと進む勝ち抜き戦です。
ツアー未経験者や賞金額の少ない者ほど、4段階の下位からの挑戦となります。
米、欧州、日本など世界の主なツアーで採用されています。
日本では小平智、星野英正、谷原秀人、近藤智弘、池田勇太、藤本佳則、ベ・サンムン、キム・キョンテなどがファイナルQTを経てツアートーナメントで活躍しています。
谷口徹、片山晋呉などの世代はさすがにきついと思いますが、さてどうでしょうか。
片岡大育、星野陸也、出水田大二郎、稲森佑貴などの若手にはまだ、十分チャンスが残されています。
東京オリンピックゴルフ代表女子の最右翼は、何といっても畑岡奈紗でしょう。
あの若さでUSツアーに参加し、世界の強豪と伍してワールドランク堂々の一桁台をキープ。
ジュニア時代から折り紙付きだった彼女のメンタルなら、日本選手の男女を通じてメダル候補一番手と言えるかも知れません。
後に続くのが2018年ゴルフダイジェスト・アワード賞を受賞して、LPGAの第一人者となった鈴木愛。
そして、驚愕の新人・渋野日向子。
2019年の全英女子オープンを勝って一挙にスターダムへ。
ワールドランキングも12位で日本女子では2位につけている。
さらに比嘉真美子、上田桃子、成田美寿々、小祝さくらなどが追いかけ、あの勝みなみがようやく本領を発揮し始めたのも心強い。
美人プロの誉れ高い藤田光里、吾妻琴乃もまだまだ東京オリンピックのゴルフ選手代表へあきらめる状況ではありませんし、菊地絵里香だって忘れてはならない存在だ。
いわゆる黄金世代の新垣比菜、吉本ひかる、河本結、三浦桃香、渋野日向子、原英花など女子若手は多士済々だ。
石川遼選手も復活の狼煙を上げて東京オリンピックのゴルフ日本代表は、男女それぞれ二人が濃厚なのでしばらくは目が離せない展開が続きます。
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