多くのゴルフ場には『理事会』があって、その下部組織として『委員会』があります。
『理事会』はメンバーを代表してゴルフ場全般の運営方針を決める会です。
数人から十数人で構成されるコースが多く見られます。
理事会のトップに君臨するのが理事長です。
理事会の下には『競技委員会』『ハンデキャップ委員会』『フェローシップ委員会』などがあります。
では、理事長はどんな人がなって、委員会とは何をやるのかを見ていきましょう。
また、理事や委員になる方法も調べてあります。
ゴルフ場の理事長には実質な権限者と名誉職の二通りある!
ゴルフ場の理事長にはどんな人が就くのか?
理事長とはゴルフ場の運営にかかわる理事会の長ですが、いろんなタイプに分けられます。
理事長の前にまず『理事会』とは何ぞや?を見ていきましょう。
会員制ゴルフクラブに於ける理事会は、クラブ運営に関する基本事項を決議する重要な役割を担っています。
理事会はゴルフ場の経営に関する意見を述べる場であり、経営及び運営方針の決定を目的として活動する。
上記が理事会のあるべき姿と言えましょう。
だが、日本のゴルフ場の運営形態はさまざまです。
例えば、日本一ゴルフ会員権が高い小金井カントリー倶楽部は株主会員制ですから、理事会は会員の代表であり株主の代表でもあります。
したがって、理事会は間違いなくクラブの運営方針並びに経営方針に関与し、決定することができます。
これは株主制のゴルフ場であればどこのコースも似たような状況です。
株主制のゴルフ場には鷹之台カンツリー倶楽部、我孫子ゴルフ倶楽部、武蔵カントリー倶楽部、相模原ゴルフクラブ、戸塚カントリー倶楽部、名古屋ゴルフ倶楽部などが有名です。
また、一般社団法人や任意団体のゴルフ場も理事会の権限は同じと言えます。
一般社団法人のゴルフ場は霞ヶ関カンツリー俱楽部、東京ゴルフ倶楽部、程ヶ谷カントリー俱楽部、相模カンツリー倶楽部、鳴尾ゴルフ倶楽部などが有名です。
任意団体によって運営されているのは軽井沢ゴルフ倶楽部と廣野ゴルフ俱楽部です。
だが、日本では多くのゴルフ場が預託金制度を採用しています。
預託金制度の会員はプレー権は保証されますが、経営への関与は認められていません。
ここが株主制や社団法人と決定的に違うところです。
わかりやすく言えば、預託金制の理事会は会社側から開示された資料だけを基に、意見を求められた場合のみ、経営に口出しをできるということになります。
したがって、株主制、一般社団法人、任意団体に比べ預託金制の理事会では、その権限が大幅に縮小されます。
御用理事会とか、お飾り理事会と言っても過言ではないゴルフ場はたくさんあります。
勿論、メンバーのための運営に真摯に取り組み、経営陣の監視や意見交換を怠らない理事会があることも付け加えておきましょう。
ゴルフ場の理事長になるのはどんは人?
まずは具体的に小金井カントリー俱楽部の理事長を何人か見てみましょう。
初代理事長は高石真五郎氏、そして永野重雄氏、出光計助氏、中村金夫氏、室伏稔氏、草刈隆郎氏などが就任しています。
現在の理事長は中野喜一郎氏。
草刈さんの前任者である坂本正元理事長体制の時に小金井カントリー倶楽部最大の不祥事に見舞われています。
上記のように小金井カントリー倶楽部の理事長は、代々日本を代表する企業経営者が務めている。
メンバーの質を物語っていると言えますね。
小金井カントリー俱楽部の不祥事について詳しくはこちら!
さて、社団法人の東京ゴルフ倶楽部ではどんな人が歴代理事長に就いていたのでしょうか。
東京ゴルフ倶楽部の前理事長は竹田 恒正(つねただ)氏でした。
この方は旧皇族で、長い間JGA会長も務めていました。
JOC(日本オリンピック委員会)前会長で東京オリンピック開催前に無念の辞任となった竹田恒和氏は弟にあたります。
竹田恒和氏はまた、霞ヶ関カンツリー俱楽部の理事長を務めたこともあります。
このように社団法人系のゴルフ場は、元皇室関係者や旧貴族の家系が理事長に就任するケースが多いようです。
預託金制のゴルフ場は大手企業の社長や会長が就任するケースが多いですね。
地方のゴルフ場では地方銀行の頭取やローカルテレビ局、地方紙の会長などが理事長を務めるところもあります。
基本的には会員の中からビッグネームを選ぶケースが圧倒的に多いということですね。
したがって、名誉職的な理事長も中には存在します。
また、中小企業や個人が経営するゴルフ場は、運営会社の社長が理事長を兼任しているところも多く見受けられます。
2022年6月に男子トーナメントASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメントが開催された麻生飯塚ゴルフ倶楽部(福岡県)の理事長は元内閣総理大臣の麻生太郎氏です。
このゴルフ場を開設したのは麻生氏の父、麻生太賀吉氏。
現在、ゴルフ場を運営しているのも麻生グループの麻生地所ですから、麻生太郎さんが理事長を務めるのも自然な成り行きでしょう。
ゴルフ場の委員会とは何をしているの?
ゴルフ場にある委員会で最も多いのが『競技委員会』『ハンディキャップ委員会』『フェローシップ委員会』でしょう。
メンバーシップのゴルフ場ならこの3委員会は必ずあるはずです。
これらの委員会は理事会の下部組織になります。
したがって委員長は理事が兼ねるコースも多くあります。
それによって理事会と委員会のコミュニケーションを図るのです。
フェローシップ委員会は何をするの?
競技委員やハンディキャップ委員は何となく想像つきますが、日常生活や仕事関係でもあまり聞かないのがフェローシップという言葉。
フェローシップには『仲間』とか『友達付き合い』という意味があって、楽しくプレーできるゴルフ場の環境作りを行なうのがフェローシップ委員会なのだそうです。
具体的にはエチケットやマナーに関する啓蒙活動が中心です。
メンバーやビジターにゴルフライフを楽しんでもらうためにはどこを改善するべきか、アンケートを実施して調べることもあります。
世界の潮流であるプレーファストを推奨、率先し、ドレスコードを見直しのもフェローシップ委員会の仕事で、フェローシップ委員会の活動範囲は幅広い。
ただし、エチケット委員会がある場合は、ドレスコードなどはそちらで担当します。
競技委員会は何をするの?
では、競技委員会どんなことをするのでしょうか。
競技委員はコースによって数人から多いところででは十数名います。
月例競技やクラブチャンピオン、キャプテン杯、理事長杯などの日程を決めるのが大きな仕事。
また、競技委員は月例会など各大会の受付やスコア集計に立ち合います。
競技規則の制定、ローカルルールの取り決めなどもあります。
プレーヤーが判断できない競技中のプレーに対する裁定も重要な任務です。
また各競技の表彰や表彰式への出席も欠かせません。
クラチャンなどのマッチプレーにも競技員は必ず待機しています。
決勝戦ではルールに精通した競技委員が、全ホールに立ち会うゴルフ場もあります。
ハンディキャップ委員会は何をするの?
ハンディキャップ委員会はハンディキャップの査定と管理が主な仕事です。
例えば、あるメンバーのハンディキャップが数字として9.8くらいになったとき、9にするのか10にするのかのシングル査定はハンディキャップ委員の重要な仕事になります。
また多くのゴルフ場ではハンディキャップをシングルハンディにするには、数字だけではなく競技でのマナーや人柄も査定の対象になります。
2022年から日本でもワールドハンディキャップシステムが導入され、ワールドハンディキャップとクラブハンディキャップの兼ね合いをどうするか検討しているゴルフ場も多いようですね。
他にはゴルフ場によって食堂委員会、キャディ委員会、エチケット員会、クラブハウス委員会、コース委員会などもあります。
各委員会の活動内容は名称の範囲に関係する事柄についてです。
例えば食堂委員会ならメンバーやビジターから意見を聞いて、メニュー構成や価格に反映させ、料理の味を改善するなどが主な活動になります。
レストラン従業員の接客態度をチェックして、より良いサービスを提供するのも大事な仕事です。
ゴルフ場の理事や各委員になる方法は?
ゴルフ場の理事になりたいならば、まず各種委員会に所属するのが良いでしょう。
委員になるためには自分がなりたいと思っている、現在の委員と親しくなることがとても大事です。
さらにはゴルフ場のことをあらゆる方面から掌握している支配人と親しく接することも重要。
例えば競技員になりたいならば、現在の競技員と親しくし自分が委員になりたいことを、それとなく匂わしておくのです。
支配人に対しても同じですね。
時機を見て「欠員ができたら競技委員を引き受けてもよいですよ」くらいは匂わせましょう。
委員になるには人柄やマナーは欠かせない要素です。
他のメンバーやゴルフ場の従業員から支持される人柄であることが求められます。
必然的にプレー時のマナーも重要視されます。
また、コースで頻繁にプレーすることも条件になります。
月2度はゴルフ場へ足を運んでください。
人望がありマナー、エチケットに問題がなければ委員の道は自ずと開けてきます。
こうして、委員を数年務めて理事へ昇格する人も多いようです。
メンバーが数百人程度の名門コースでは、委員や理事は持ち回りになっているところもあります。
コースによって様々ですが、あなたが委員や理事を望むなら熱意も大いに必要だと思います。
マナー、エチケットには常に留意し、人間味も磨いておきましょう。
そして、ゴルフ場への愛着と協力姿勢も忘れないでください。
私はかつて茨城県きっての名門・大利根カントリー倶楽部でビジターでありながら競技委員、食堂委員、フェローシップ委員の3人に同伴していただいたことがあります。
食堂委員のメンバーは女性で、あとのお二方は男性でした。
3人とも素晴らしいゴルファーでした。
キャディさんがいてもディボットは自分で埋める、バンカーもならします。
キャディさんとも対等な接し方をしていましたし、私への気遣いも素晴らしいものでした。
ハンディキャップ7の競技員は、さすがにコースをよく知っていらっしゃる。
大利根カントリー倶楽部が初めての私へ、実に的確なアドバイスを送ってくれました。
キャディさんは競技委員さんのアドバイスを優先し、彼が教えてくれない部分を補ってくれるのです。
この呼吸はさすが名門コースと感激したことを覚えています。
食堂委員の女性はとても人柄の良い方でゴルフの腕前は一級品。
60歳前後でハンディキャップが16。
男性組は青ティから打ち、彼女は白ティから打ちました。
それでスコアは91だったように記憶しています。
あのチャンピオンコース大利根カントリー俱楽部の白ティからですから、女性としては驚きです。
食堂委員だけあって、昼食時には注文した料理の味を聞いてきました。
「美味しいです」と答えると安心したように微笑んでいたのが印象的でした。
大利根カントリー俱楽部のレストランは本当に安くて美味しい。
フェローシップ委員のメンバーも人格者でしたね。
何よりも3人の大利根カントリー倶楽部愛が素晴らしいと思いました。
男性二人は中小企業の経営者でしたが、全く嫌みのない落ち着いた紳士。
女性の職業は失念しましたが、専業主婦ではなかったような記憶があります。